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にぎわい始めた入口を見つめて美奈が思い出にふけっていると一時間ほどして、美奈の不安を打消すように李枝はオリーブ色のスーツをビシッと着こなしてさっそうと現れた。美人とはいえ、コタンの匂いを感じさせ、周囲の人々から好奇の視線をあびせられたり、美奈自身もコタン出身を教室のメンバーから、特別のまなざしをむけられるのでは? などと心配になっていた自分が、むしろ恥かしくなった。 美奈は嬉しくなってかけより、手をとって 「しばらくう、よく来てくれたわねえ、うれしい、逢いたかったあ」 (佐藤瑜璃「忘れな草」)
一発目から佐藤瑜璃さんとは嬉しい! 第142号は、この後、土肥純光『男と女』、丸本明子『折鶴』、北野広『こぶしの花の咲くところ』、金澤欣哉『手記のある風景』、山根与史郎『美声の悟得』、内田保夫『墨染に舞う』と続き、最後に針山和美『半病雑記』のスタートです。
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