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▼ 海の鼠   引用
  あらや   ..2017/07/14(金) 09:43  No.399
   動物を扱ったこれら六篇の小説の中で、最も早い時期に書いたのは、『ハタハタ』である。新聞の小さな囲み記事に、ハタハタ漁で遭難した漁師の遺体収容よりもハタハタをとるのを優先している漁師町のことが記されていた。
 この記事に人間の生きる苛酷な営みを感じた私は、秋田県下のハタハタ研究家を訪れてその生態についての知識を得、ついで目的の漁師町におもむき、商人宿に泊って漁業関係者、遭難死した漁師の遺族たちに会って話をきいた。帰京した私は、少年を主人公にこの作品を書き上げたのである。
  (中略)
 鼠の生態について書かれたものを読んでいるうちに、宇和島市の沖にある戸島、日振島に鼠の異常な大量発生があったことを知り、興味をいだいた。それらの島におもむいて調査し、事実にそって執筆したのが『海の鼠』である。海を渡る鼠の群れを網にかけた漁師の話をきいた時の肌寒さは、今でもはっきり記憶している。
(「吉村昭自選作品集」第十一巻/後記)

道内の野外彫刻巡りなどに大変役に立っていた自動車なんだけど、8月末で手放すことにしました。稚内の本郷新とか、いくつか懸案事項が残っているので7〜8月で時間を見て廻ってみるつもりです。まあ、チャンスがなかったら秋冬の汽車・バス旅でもいいんですけど。
稚内方面なら苫前の三毛別(吉村昭「羆嵐」)も…ということで、図書館から『吉村昭自選作品集』第11巻を借りてきました。そこで大発見。北海道ものの『羆嵐』『羆』『海馬』はもちろん面白かったのですが、今回読み返してみて、意外に内地ものが面白いんですね。特に『海の鼠』。これ、凄いなあ。ガーンでした。

 
▼ 妄想   引用
  あらや   ..2017/07/14(金) 09:47  No.400
   人間は、多くの動物たちと地球上で同居している。さまざまな動物と接する人間の生の営みが私の関心を強くひき、刺戟をうけてこれらの小説を書いたのである。
 自分でも不思議に思うが、このような旅の帰途、胸の中に小説の構想が自然に湧いてきて、それをあれこれと練りながら帰京する。家についた頃には、ほとんど小説の構成も出来上っていて、早く筆をとりたいと思うのが常であった。
 このようなことは、動物を扱った小説以外にはなく、動物に接する人たちの熱気のようなものが自分にも乗り移っているからなのか。私にもわからず、不思議である。
(「吉村昭自選作品集」第十一巻/後記)

動物と云えば、私には大森光章。「人間像ライブラリー」の作業をやっていると、『星の岬』所収の『凍土抄』とか『王国』のデジタル化やりたいなあ…とか発作的に思ったりします。妄想はどんどん膨らんで、もしそれらの作品群が「人間像ライブラリー」にアップされたら、何かの拍子に幻の同人雑誌『新芸術派』や『しんぼる』もどこかから出てくるんじゃないか…とか思ってる自分がいます。

いやいや、何遊んでるんだ、さあ仕事、仕事…となって正気に戻るんですけど、こういう遊びの時間自体は絶対に必要なのでしょう。今、この作業と並行して『吉村昭自選作品集』を読み返しているのには何か意味があるのだと思ってます。草むしりと同じで、頭ではなく、身体の方がこういう人生を選びとっている。



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