| 雑踏する繁華街を、サムプルの風呂敷包みを背負い、或はトランクを重そうに提げて歩いて居るセールスマンの姿を私は時々、見かける。 セールスマンと云うよりは、むしろ、彼等の間に丈け使はれる販売員とか出張員とか云う呼び名がぴつたりするのだが、その風呂敷包みは、大低、黒無地か或は唐草模様なので一寸、注意すれば簡単に見分けることが出来る。そして彼等は、極く一部の例外を除いて大部分がその片手に皮鞄を下げて歩いて居る。 (渡部秀正「セールスマン物語」)
「人間像ライブラリー」に検索システムが付いて、誰でも読めるようになったので、これからは「読書会BBS」に書くようにします。
渡部秀正さん。初期「人間像」には小樽から参加している重要メンバーが二人いて、その一人が渡部秀正さん。(上沢祥昭さんについては後日…) 針山和美氏が「初期人間像のチャンピオン」と書いた程、デビュー作からその才能が全開でした。何をもって「才能」というのか難しいところなんですけれど、渡部さんの小説に付いている筋肉って、とても自然な筋肉に感じる。厳しいトレーニングや増強剤でつくった筋肉ではないだけに、なにか本物を感じますね。あと、昭和の小樽光景がふんだんに描かれていて心底嬉しいです。
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