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▼ 穂足内騒動   引用
  あらや   ..2021/04/08(木) 10:45  No.566
  「一説には、この浪人は江戸浪人とあるから、多少は江戸生活も知っていたのだろう。下国なんか江戸屋敷にいる間に、何か女の事件を起して脱藩したものとすると、ますます面白くなるのだがね」
「それじゃいよいよ大衆小説だ」
 笑話になったが、永田の頭の中にはすでに下国と荒谷が一種の英雄となって存在しているのを梶は知った。このいい気な歴史家の妄想を叩き破るには、史実によるほかないのである。
(丹羽文雄「暁闇」)

丹羽文雄、読んだの、これが初めてではないだろうか。(ちがうか…)
古宇伸太郎『蛾性の女』のライブラリー化で「北海道文学全集」を調べていたら、解説に、丹羽文雄が来道した折古宇伸太郎が案内した作品があると知って興味を持ったのでした。それがこの『暁闇』。文中の梶が丹羽文雄、永田が古宇伸太郎ですね。そして、扱っている素材がなんと「穂足内騒動」ではないですか。
「人間像」第84号の古宇伸太郎『暗礁』以来、変に「穂足内騒動」づいているのが不思議です。『暗礁』の物語仕立ての巧みさに比べると、『暁闇』は史料を梶と永田の軽妙な会話でコラージュしただけの随分お手軽な作品だなあと思って読んでいたのだけど、ラストの場面でバックドロップ! 一転、気品ある小作品に変貌したのでした。大作家って、こうなのか。

この前見つけた、過去のライブラリー仕事の破片もこちらに寄せておきます。
http://www.swan2001.jp/oa074.html



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