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▼ 「人間像」第43号   引用
  あらや   ..2019/02/10(日) 17:37  No.653
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今週が、この冬の寒さの底のようです。

 九時近く、僕は四人より一足先に家を出て、緑町の親戚へ向うため、妙見川辺りを登っていった。人もまばらな闇市場を通り抜けようとした時、バラックの軒の下に固っていた四、五人の内の一人が、つか/\と近ずいてきて、光の箱を差し出してみせて、煙草をいらないかと、明らかに朝鮮人らしい訛で云った。軽く断りながら、何となく薄気味悪い思いで通りすぎたが、暫く行って、フッと彼等の中の一人で、チラと視線の合った男が針本ではなかったと気付くと、僕は思わず振向いた。彼等の影は、雪明かりにももう見えなかった。針本だったろうか。いや針本ではあるまい。彼がここに居るはずはないのだ。しかし、居ないともいい切れないはずでもあった。
(金澤欣哉「後流」)

 ――いかりや荘と言うO市ではBクラスの旅館、十日程して私はそのいかりや荘の客になった。風呂を浴びて以前と同じ室に戻ると待っていたように夕食の膳が、これも以前のときと同じ、小柄な、いっていて二十二くらいな年頃の、ぽってりとした体つきの、頬からおとがいにかけて、それこそ、生ぐさいような女を感じさせる女中によって運ばれる。サービス精神を発揮したことは言うまでもない。――女は私にしきりに年をあてゝ見ろと言ってきかないので私は、相手がよろこびそうな二十位だろうと言うと、そんなにわたしって子供っぽく見えるかしら、これで二十三よと言う。又女はひとり言のように、わたし肌がくろくて(顔とは言わなかった)恥かしくってと言う。私の見た眸では、くろいどころか、男の目には、罪なくらい、しっとりと濡れたような肌理のこまい、それこそ刃物をあてゝも、乳のような血が出るかと疑う程の白い肌を持った女であった。
(志村龍夫「明日の喪失」)

内地はもうすぐ春みたいだけれど、もう少し冬の小樽で頑張って「人間像」作業に勤しむつもりです。作品に〈小樽〉が出てくると、少しペースがハイになる。「四三走り」か。

 
▼ 57時間   引用
  あらや   ..2019/02/13(水) 14:42  No.654
  本日、「人間像」第43号作業完了。デジタル化にかかった時間、なんと「57時間/延べ日数9日間」でした。現在のライブラリー収録タイトル数は「935作品」。

自分で言うのも変だけど「57時間」は凄いね。何なんだろう…と考えてみて、いちばん思い当たるのは「作品の質の向上」ですかね。読んでいて楽しい。先の展開が楽しみなので、作業が苦にならない。昭和31年。人々の心も漸く戦後の混乱期を脱したように感じます。



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