| TOP | HOME | ページ一覧 |


No.711 への▼返信フォームです。


▼ 「人間像」第61号   引用
  あらや   ..2019/11/09(土) 17:44  No.711
  .jpg / 39.7KB

本日、「人間像」第61号作業、完了しました。デジタル化にかかった時間、「56時間/延べ日数8日間」。現在のライブラリー収録タイトル数、「1210作品」。久しぶりの100ページ超の号ですから、こんなところか。

 同じ三十五年の一月から北野広(黒川隆)も入会している。第一作「サークルの春」(56号)から「反省書」(83号)まで十三篇を続けざまに発表した。教師であり共産党員でもあった彼の作品は、主題の明確なものであったが、それ故に独り善がりも目立ち仲間内ではあまり票を集め得なかった。冷静な筆致で描いた「旗と波と」(66号)だけは認められ三十八年度の二位に選ばれた。その後長い長いブランクとなったが、平成三年の定年後は時間から開放されコンスタントに発表している。
(針山和美/「人間像」の五十年)

その十三篇の第六作目『むしばまれゆく日々』。昭和二十年代後半の小樽風景がなんとも私には新鮮。毎号楽しみに読んでいます。伊藤整なんかより、はるかに面白い。

 
▼ 肋骨   引用
  あらや   ..2019/11/09(土) 17:47  No.712
  第61号には、もうひとつ興味深い記述を発見しました。これです。

 永利はそう云いながら、松枝の持っているハンカチを取り上げた。彼はそのハンカチで彼女の涙を拭いてやろうとした。すると松枝は、いきなり倒れこむようにして彼にすがりついてきた。激しく顔を胸に押し付けられて、それを支えるように松枝を抱えると、彼女の襟元から、甘酸っぱいような体臭が洩れた。
「あたしは誰も頼る人なんかいないのよ。だからあたしは、永利さんだけにしか頼れないのよ」
 松枝は早口でそう云うと、なおも激しく身体を押し付けてきた。
「松ちゃん、痛いよ。此方側の胸は骨がないんだよ」
(土肥純光「花月荘」)

吉村昭の重要なキーワード〈肋骨切除〉。吉村昭は21歳(昭和23年)の時、結核の症状悪化に伴い、当時ほとんど前例のなかった肋骨の切除手術に踏み切り一命を取り留めるわけです。切除した肋骨、五本。吉村昭の小説でも、この手術は当時の限られた一時期試みられた特殊な結核治療法というように表現していたと記憶しています。事実、他の作家や作品でこの治療法について言及したものを目にしたことはありません。それが突然『人間像』の作品の中に登場してきて、結構驚きましたね。



No.711 への引用返信フォームです。

Name 
Mail   URL 
Font
Title  
File  
Cookie  Preview      DelKey