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▼ 「人間像」第82号 前半   引用
  あらや   ..2020/12/28(月) 14:55  No.794
  本日、第82号の巻頭作品、せんだ・かおす(=千田三四郎)『そして、得られたもの』をライブラリーにアップしました。以降、小説作品は、針山和美『誤算』、金沢欣哉『温泉ノート』、朽木寒三『ハラバ山の伝説』と続きます。

 磯の臭いが、おれをせきたてているのか。からだに、しみついている、この臭いから、逃げだしたい、意識のあがきなのか。いずれにしても、やませ≠フように、突っ走ってしまった行為なのだ。それを正当化しようなんて、考えてもいないし、正義なんて、立場のちがいで、どうにでも理屈づけできる、強者のてまえみそなのだから、『虫けらにだって』と、おれなりの欲求を、ぶっつけたって、結果さえよければ、それなりの言い訳もつこうではないか。なにはともあれ、網を投げこんだからには、予想される障害を押しのけ、うんぷてんぷにまかせて、かかりきるしかない。
(せんだ・かおす「そして、得られたもの」)

『そして、得られたもの』、よかった。イントロから持って行かれて、ラストまで息つかず駈け抜けましたよ。久しぶりの千田ワールドを全身で堪能した。そして次は『誤算』ですからね。たまらない2020年の幕切れです。では、よいお年を。

 
▼ 誤算   引用
  あらや   ..2020/12/30(水) 18:15  No.795
   「で、スキーの方はどうだろう。正月の二日から三日にかけてニセコへでも?」
「………」
 返事がない。彼女の歓声を心のどこかに期待していた建二は、やはり裏切られたような気持になった。
「でも……」
 とかすかに受話器に音がした。
「どうしたの?」
「実は、伯母の家へ行くことに、一か月も前から決めてあるのよ。ちょうどその日」
 何か緊張のためにふるえているような声だ。
(針山和美「誤算」)

本日、『誤算』をライブラリーにアップしました。単行本未収録じゃないかな、こんな作品読んだことがない…と思いながら作業を進めて来たのだけど、このニセコスキーの場面には何か記憶がある。やはり単行本のどこかには収録されているのだろうか。それとも、持っていない単行本があったりして…
第82号の『誤算』部分に、改稿を指示する原稿が一枚挟まっていましたので、その原稿を活かした『誤算』(改稿版)もつくってみました。

 
▼ ハラバ山の伝説   引用
  あらや   ..2021/01/06(水) 11:33  No.797
  本日、朽木寒三『ハラバ山の伝説』をライブラリーにアップ。2021年の初仕事となりました。正月は、元日こそ昼間から酒が入ってしまって休んだけれど、二日からは仕事を再開しています。

 ところがそれにつづいて起ったのが、全満洲を恐怖のどん底におとし入れた『ペスト』の大流行である。
 この年――明治四十二年の冬に発生した肺ペストの流行は、北満の、満洲里=ハイラルの奥から始まった。その地方の特産に、『タルバカン』という毛皮動物がいる。陸のカワウソともいうべきもので、土民たちはタルバカンを獲って、毛皮は商人に売り、肉は自分らの食用にする。この肉が媒介して、まず、土民たちがばたばたと死に始めた。
 そこへ、ハルビン方面から商人が入りこんで病菌を持ち帰る。
(朽木寒三「ハラバ山の伝説」)

話の本筋とはあまり関係ない引用ですが、コロナ下の今の記憶として。

 
▼ 「人間像」第82号 後半   引用
  あらや   ..2021/01/11(月) 17:24  No.798
  本日、「人間像」第82号をアップしました。作業にかかった時間は「85時間/延べ日数18日間」。収録タイトル数は「1501作品」。
約160ページの本なので「85時間」は順当なところでしょうか。作業の途中で歯医者通いが始まり、若い頃からの懸案でもあった奥歯を遂に抜いたりしたので、多少日数がかかっています。

●本号校正中に瀬田栄之助から「小生、本十三日胃ガンの宣告を受け、手術します。いろいろお世話になりました。再起を期します」というハガキが届けられた。一日も早い再起を祈る。「徒労の日記」が痛々しい。
(「人間像」第82号/編集後記)

本当に『徒労の日記』作業は辛かった。いつもならルビや傍点満載の瀬田作品から一切の修飾が消え、箇条書き風の記述が延々と続く今回の日記は異様でした。「胃」という文字を何度打ったことだろう。



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