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No.826 への▼返信フォームです。


▼ 「人間像」第87号 前半   引用
  あらや   ..2021/04/04(日) 09:00  No.826
  昨日、津田さち子『大和ばかの記(2)』『嵯峨野の桜』の二篇を人間像ライブラリーにアップしました。「人間像」第87号作業の開始です。
新同人の津田さち子さんについては、いずれの機会に。この先、大事なことが待っているので少し歩調を速めます。
今日は、古宇伸太郎『墓参 広津和郎・宇野浩二両氏を偲ぶ会』作業に入ります。ちょうど『広津和郎先生の書翰』をアップしたばかりなので、タイミングも巧く合いました。第87号は、古宇氏と東京同人会の出会いがあったり、針山和己氏と瀬田栄之助氏の対談があったりとなかなか賑やかです。

 
▼ 急告   引用
  あらや   ..2021/04/05(月) 18:20  No.827
   瀬田栄之助の死  ―編集後記に代えて―

   針山和己

 この号を編集するころ、瀬田さんが死ぬなどとは夢想だにしなかった。もし知っておれば、なんとしてでも生前に発行したであろう。つねに早目に原稿を提出し、雑誌の発行を一日千秋のおもいで待っていた瀬田さんのことを考えると、今ごろこの号を発行するのが残念でならない。早くて二月、印刷所の都合では三月にはなると考えていたのだから、いずれにしても間に合いはしなかったのである。
 この号の瀬田さんの原稿は、昨年の七、八月ごろに送られたものである。そのころ、彼は自分でも書いているように、マス・コミの脚光を浴びて「人生最良のとき」を味わっていたので、この号もその喜びの文でいっぱいである。学者でありながら、いつも作家でありたいと願っていた瀬田さんにとって、『いのちある日に』の出版は本当に嬉しかったにちがいない。しかし、その喜びの文章をいまここに読みかえすとき、僕は涙なくしては読めないのである。
 本号の「生きるも地獄・死ぬも地獄」は文字通りの絶筆となってしまった。味読していただきたい。
 次号は急拠ではあるが、追悼号とすることにした。

 
▼ 漂流   引用
  あらや   ..2021/04/08(木) 10:48  No.828
   マーチはすぐそこの、電球にふちどられた活動小屋からだ。しかも二枚の大きな絵看板のふちを、黄いろと赤の電球がびっしり囲んでいる。楽隊はそのかげから聞える。
「ここ電気館さ。西洋ものばかしやるんだ」という。
(古宇伸太郎「漂流」第二回)

小樽の情景、作業してても心地いい。ちょうど家の庭木冬囲いを外す時期に当たって、物語の、冬の小樽の街や家族が春に移り変わって行く描写と重なって、どちらも心うきうきしました。次回では稔の思春期が見られるのかな。

さて、本日より瀬田栄之助『生きるも地獄 死ぬも地獄』に入ります。少し緊張する。

 
▼ 内地   引用
  あらや   ..2021/04/13(火) 05:54  No.829
  針山 十四年ほど前、内地にきたんですけど、あの時は東京どまりでしたので、瀬田さんには逢えませんでした。でもいつか再び内地にくると思っていたんで……
瀬田 あのときは、ほんとうに残念でした。関西の連中は首を長くして待っていたんで……。でも今日はほんとうに嬉しい。北海道からお客様を迎えるなんて……。
針山 つもる話が山ほどありますが……さて、なにからお話していいのやら……。
瀬田 看護婦さんが睨みをきかしているんで……面会時間にタイム・リミッ卜があるんで……あなたの今回出版した『奇妙な旅行』からはじめましょうね。
(針山和己,瀬田栄之助「『奇妙な旅行』を中心として」)

生前にお会いしていたんですね。よかった…

瀬田栄之助・針山和己対談『「奇妙な旅行」を中心として』、本日ライブラリーにアップしました。瀬田栄之助『生きるも地獄 死ぬも地獄』もすでにアップしていたのですが、引用するのが辛くて、ぐずぐずしている内に今日になってしまった次第です。

「内地」か… 「奇妙な旅行」は、小樽を過ぎたあたりから「内地」とは真逆の角度に入って行くのがカッコいいんだよね。

 
▼ 「人間像」第87号 後半   引用
  あらや   ..2021/04/15(木) 18:51  No.830
  本日「人間像」第87号をライブラリーにアップしました。作業にかかった時間、「61時間/延べ日数12日間」。収録タイトル数は「1574作品」に。

裏表紙広告が模様替え。前号までの『現代スペインとスペイン語の研究』(針山和己氏紹介文)は内側に移動しました。文章は「人間像」第86号裏表紙と同じです。
今号より『いのちある日に』と『暁の空にはばたく』に替わったのですが、紹介文を書いているのが凄い。埴谷雄高と八木義徳なんですよ。例によって旭川刑務所のインクが薄いので、下に書き写しました。

今、ここのところ毎号連載されている古宇伸太郎氏の同人誌評をライブラリーに出そうかどうか迷っています。従来の「人間像」同人誌評は同人の持ち回り当番で内容のばらつきも多く、ここまでを〈作品〉としてライブラリーに上げると小説中心に整えた今の「人間像ライブラリー」構成が壊れてしまうような気がして載せられませんでした。
でも、古宇氏の同人誌評は違うんです。『広津和郎先生の書翰』に似た構えと云おうか、相手の必殺技をすべて受けて、でも試合が終わってみればちゃんと勝ってる、と云うか、負けていない、だからチャンピオン・ベルトは渡せないよ…といった佇まいなんですね。

 
▼ 「人間像」第87号 裏表紙   引用
  あらや   ..2021/04/15(木) 18:56  No.831
  瀬田栄之助著『いのちある日に』
目と目を見合わせて死と直面することは、或る苛酷な決定的な事態のなかに投げこまれたもののみに与えられたところの怖ろしい透視作業である。そこでは、日常の生において見おとされていたことごとのすべてが、鮮烈な不思議な姿をもって現われてくる。いってみれば、それは一種苦悩の啓示にほかならず、癌に冒されたこの作者の前にも火花のごとく鮮烈な啓示がいま置かれているのである。〈埴谷雄高〉

平木国夫著『暁の空にはばたく』
平木国夫君は、わが国ではきわめて数すくない航空小説のすぐれた書きての一人だ。同君はかつての学鷲であり、現在も航空界に職を得ている。君と空とは切っても切れぬ仲だといっていい。その平木君が、わが国の民間航空の開拓者たちに目を向け、草創期の空に生涯の情熱といのちを賭けたひとびとの挫折と栄光のドラマを、緻密に史実を踏まえつつ、一個の感動的な人間記録として、ここに見事に再現してみせた。〈八木義徳〉



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