| 小田島本有氏が道新「道内文学 創作・評論」で福島氏について書いています。
最後まで同人誌に誇り 福島昭午 北広島在住で同人誌「人間像」の編集・発行を担当していた福島昭午が4月23日に逝去した。昨年8月に発行された「人間像」190号の編集後記で、福島は、「小誌一八〇号あたりから、終刊を一九〇号、つまり私が九十爺(クソジイ)になるまでと内外に告げていたが、ついに、九十歳になり当時の目標に達した。しかし、前号で『まだ、いけるぞ』という気が起き、終刊は取り消しにした。但し、生き物の一寸先は闇だから、ある日コロリと逝くかも知れない。〈ピンピンコロリ〉は理想的な逝きかたである。だから、そうなったときが、小誌の終刊である。それまで頑張る」と書いていた。この号では、福島自身の過去をモデルにした「小説・春山文雄と――『人間像』裏面史物語――旧制中学時代」も掲載されており、その続きも予告されていた。 また、「埋め草コラム」では、道新文化部が従来月評であった同人誌評を隔月評にした点について地方雑誌の軽視と糾弾している。私は軽視とは思わないが、取り上げる雑誌の数に制約が生まれたのは確かである。最後まで同人誌に対する誇りと意欲を抱き続けた人生であった。享年90歳。心より哀悼の意を表したい。 (北海道新聞 2021年7月7日夕刊)
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