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No.881 への▼返信フォームです。


▼ 「人間像」第97号 前半   引用
  あらや   ..2022/02/13(日) 16:39  No.881
   張田は小樽の生まれだ。祖父の代から洋服店を経営していた。祖父は江差に田畑山林を所有し、そこに初めて駅馬車を走らせて町の人々の度胆をぬくといった資産家であった。祖父は江差だけではあきたらず、函館、小樽、樺太の恵須取に洋服店の支店を出し大いにあたったが戦争中江差の田畑山林を没収され樺太の支店も日本軍不利の情報で引払い函館は大火にあうという事態が生じ、小樽だけにしぼって営業を続けることにした。
(針田和明「山もありゃあ谷もあらぁな」)

うーん、久しぶりの「人間像」。第97号作業、開始です。まずは、針田和明『山もありゃあ谷もあらぁな』を本日アップ。これから、平木國夫『さい果ての空に生きる〈第3回〉』に入ります。

張田さん、小樽の人だったんですね。「人間像に現れた〈小樽〉」作品、私、即座に二十作品くらいは挙げられますよ。

 
▼ さい果ての空に生きる   引用
  あらや   ..2022/02/24(木) 17:13  No.882
  しかしたとえ彼らに遅れをとったとしても、北海タイムスのこの定期航空は、井上長一や東西定期航空会のそれと堂々と肩を並べ得るだけの大きな意義のある事業であった。つまり日本航空輸送のように国家予算で賄われたのではなく、新聞の売上収益で企画され実行された公益事業であった。という正にその一点に於いてである。これをなし得たのは、北海タイムスと朝日新聞だけではなかったか。やがて日本航空輸送は朝日新聞や井上長一らが営々として築き上げた定期路線を吸収合併してゆくのだが、それまでは、国も県もこれら民間航空事業に対して協力的ではなかった。北海道に於ける定期航空もまた一新聞社の私企業で、道も市も極めて冷淡であったといってもよい。むろん表面的には祝福のことばを浴びせても、経済的援助は何ひとつしてくれているわけではない。ともあれ規模に於いて、中央の一流紙である朝日新聞の幹線路線とはくらべられないとしても、その志に於いてその実績に於いて、朝日の東西定期航空会と共に高く評価すべきであろう。それは北海タイムス社の体質でもあったし、更には函館生れの上出松太郎という得がたい男が存在したからでもあった。
(平木國夫「さい果ての空に生きる」第3回)

ここのところ、千歳の飛行場がすっぽり埋まってしまうような大雪が北海道中で起こって、小樽もちょっと大変です。ライブラリー作業も二三日滞って、毎日雪かきばっかりしてた。

今、テレビが、ロシアのウクライナへの軍事侵攻を伝えている。

 
▼ 小野静子   引用
  あらや   ..2022/03/09(水) 12:59  No.883
   朽木は本号の「小野静子の短き春」を発表する以前に、同通73号〈小野静子追悼号〉に、同題のエッセイをよせている。彼女の死の直後、その遺品の整理に立ち合った時の記録である。

 二月二日の夜、テル子さん(注・加藤テル子、後に同人となる)と二人で、小野静子のつとめ先だったパチンコ屋「名曲」にいった。遺品整理の為である。テル子さんは、小野さんから遺言ですべてをたくされた女友達なのだが、友の死におびえていて、一人ではいけないので、ぼくがついていったのだ。
 ビルの裏階段(せまい鉄ばしご)をのぼっててっぺんにつくと、まず、ナイトクラブ女王蜂の女給さんの控室があり、その次にボーイさんたちの溜りみたいな部屋があり、小使室があって、一たん屋上に出る。するとそこに、天井の高さがぼくの肩ぐらいしかない穴ぐら部屋があり、それがパチンコ屋の「女の子」たちの寝泊りする居住区だった。カーテンでしきられた部屋の入口に立って、おそるおそる「入っていいですか」ときくと、三人いた娘さんたちが、どうぞと招じ入れてくれた。三人とも、インテリではない、話しているとすぐに、心の温かさ、考えや気持の直線的な卒直さの分かる人々だった。このようないい友達の中にあって、彼女はなぜ死んだのかと思う。

現在、「人間像」第97号最後の山場、上沢祥昭『ある文学徒集団の歴史(7)』に入っています。昨日、第56号の章を終えました。
ご覧の通り、第56号表紙に「小野静子追悼号」の文字はありません。いらぬお節介で「人間像ライブラリー」の目次には〈追悼号〉の文字を書き込もうと考えたこともあったのだけど、しないでよかった。『ある文学徒…』を読んでいて、人間像同人会が意図的にそうしなかったということを知りました。また、「同人通信」には未発表の関連作品があり、これをライブラリーに挙げようと考えたこともあるけれど、これも無用でしたね。必要なことは上沢さんが全部活字にしてくれた。

 
▼ 南部なまり   引用
  あらや   ..2022/03/25(金) 09:32  No.884
   南部なまり   渡部秀正

日曜の朝
いわて公園に行こうよと子供が言う

かたくなで一途だった
土地の人々の
歴史そのままの
城あとの道をあゆみ乍ら
語りかける子供に
ふと土地のなまりがある

娘よ 其のなまりを忘れるな
幼かった日々の
かえらざる想い出のために

(「同人通信」第103号/巻頭詩)

戦争のニュースの日々、この詩に出会って涙が出た。気づかせてくれた『ある文学徒集団の歴史』、ありがとう。「同人通信」を預けてくれた針山家の皆さま、感謝しています。

 
▼ 「人間像」第97号 後半   引用
  あらや   ..2022/03/25(金) 09:37  No.885
  昨日、「人間像」第97号作業が完了しました。作業時間は「250時間/延べ日数46日間」。収録タイトル数は「1878作品」。

なんと、約280ページの本に一ヶ月半もの時間がかかってしまった。気がついたら3月24日だなんて、信じられないことだ。そして、今日の夕方のニュースが(道内の)新規感染者数が2048人と報じても、もう驚かない自分に驚く。



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