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▼ 「人間像」第104号 前半   引用
  あらや   ..2022/12/04(日) 18:57  No.940
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柚木完三は、三十代のはじめからかかって十年間準備をつみ重ね、そのあとつづいて二冊書いた。中の一冊はモデル問題をおこして、主人公周辺の家族たちがやたらうるさくて、発行と同時に絶版になってしまった。だが幸いもう一つの方が、十年以上も生き残って、今夜の、こういうことの原因になったりしている。
 だが、柚木完三はこの十年間、完全に打ちひしがれて、挫折感のとりこになり、再起不能の実状である。
(朽木寒三「柚木完三の孤独な人生」)

十二月より「人間像」第104号作業スタートです。先ほど、朽木寒三『柚木完三の孤独な人生』をライブラリーにアップしました。(作業していて、ちょっと涙出た…) 以下、内田保夫『残照の中の華』、佐藤修子『未だ見ぬ子へ』、針田和明『志保』、神坂純郎『水脈(第二回)』、針田和明『阿片秘話(第四回)』と続きます。

 
▼ 未だ見ぬ子へ   引用
  あらや   ..2022/12/08(木) 10:07  No.941
  本日、佐藤修子『未だ見ぬ子へ』、アップしました。「属望」「非害」「異和感」などの表記は作者独特の言葉づかいですので直さないでそのまま載せてあります。唯一直したのは、

フォーカスのかかった画面には、鈴蘭のような花替をさして微笑んでいる朋子の白いふくよかな顔、

いくつか漢和辞典を引いても「花替」という言葉は見つかりません。これが「花簪」の誤植(旭川刑務所製)だと気がつくのに三十分くらいかかりました。まだまだ修行が足りない。これから、針田和明『志保』にかかります。

 
▼ 阿片秘話   引用
  あらや   ..2022/12/14(水) 17:50  No.942
   薬学部が小さくみえた。広いと思っていた廊下が狭くみえた。コンクリは冷たかった。廊下を歩いている人間は見知らぬ者が多かった。慣れた戸をあけた。俺の研究室、なつかしい研究室だ。エーテルのにおいがする。
 驚いた。
 席がなかった。見たこともない若い研究生がビーカーをふっていた。
(針田和明「志保」)

針田氏が北大薬学部時代を語るのは、この『志保』が初めて。ここ数号、「野田良平」を主人公とした作品が続いているのですが、文章は明るく朗らかで楽しく読んでいたのです。でも、ここに北大薬学部時代のピースが一枚加わると、ちょっと針田作品の読み方が変わって来るな…と感じています。『阿片秘話』も、今までは博覧強記の作家・針田和明が書いている…と軽く受け取っていたのですが、もしかしたら、薬学部出身の針田和明が針田和明にしか書けない最終論文を書いている…と思うとなにか鬼気迫るものを感じ始めました。

その『阿片秘話』を進行中です。第104号はなにか異例のスピードで進行していて、もしかすると、あと二、三日でフィニッシュかもしれない。

 
▼ 「人間像」第104号 後半   引用
  あらや   ..2022/12/17(土) 11:46  No.943
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昨日、「人間像」第104号(約160ページ)作業、完了です。作業時間は「90時間/延べ日数15日間」、収録タイトル数は「1991作品」になりました。
インクが薄いので原版の解像度を一段上げたのですが、その作戦が上手く当たったみたいです。次号もこれでやってみよう。

■前号を出して間もなくの今春、千田三四郎が二冊目の単行本『詩人の斜影』を創林社より刊行した。本誌93号に発表した作品である。なお三冊目も計画に乗っており、刊行が待たれる。平木国夫は「日本ヒコーキ物語」全十巻のうち二巻を冬樹社より出版、執筆人生も定着したようである。『空気の階段を登れ』が文春文庫に収容された。文庫本といえば、朽木寒三のロングセラー『馬賊戦記』も徳間文庫に入ることが決まり、また久しぶりに三冊目の単行本の話が進んでいるそうで、仲間が雑誌の枠からはみ出して活躍することは喜ばしいことである。
(人間像・第104号/編集後記)

「人間像」、最盛期ですね。



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