| | 外周の二方はガードレールがあって、すぐ森が迫り石狩平野は野幌の大原生林に続いている。この団地はその森の一部を造成して宅地化したものである。 私は嫌気のさした外周のガードレールを跨ぎ森へ向かった。まったくの衝動的な行為だった。外側は沢になっていてそれを越えると背丈の低い灌木のまばらにある笹原が広がっていた。笹の密生を掻き分ける。その向こうが森となっている。いや森などという生易しいものではなく、大森林なのだ。 (福島昭午「愚人抄(一)」)
原始林へ。福島さんの書くものの魅力は、この野幌の原始林が時折顔を見せることでしょう。あの、森でもなく、林でもなく、原始林としか言いようのない佇まいは、宅地開発にすっかり切り刻まれて今はもうその姿は消えてしまいました。(それでも熊はまだ棲んでいるらしい…) 原始林の中で、二十年前の泊原発を思い起こすというのはなかなかに思弁的な生涯だと思う。福島さんは自分の人生をすべて言葉にしているところが凄い。
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