| 明日は南京極小学校の出前図書館が入っているので、練習を兼ねて、「妖精が丘」のことを先に書いておきます。 年に一度の大ブックトーク大会。全学年の南京生11人と湧学館の2人が、全員「私の好きな一冊」を語ります。いつもは湧学館の2人が、昼休み15分間の各7分をブックトークする形なのですが、この日だけは、授業の1時限をもらって、全員平等の時間で「私の好きな一冊」を語るわけです。けっこうプレッシャーはきついけど、楽しい気持ちにはなる一時間です。私には「好きな一冊」があるから。こういう時、私は、アンデルセンか宮沢賢治のどちらかになるんだけど、小学生相手の時はアンデルセンが多いかな。(昭和三十年代からの根っからの「アンデルセン小僧」ですから…) でも、この平成25年10月、とても驚くことがあったんだよ。
この本に入っているお話は、アンデルセン童話のけっさく中のけっさくばかりです。よく知られているお話もありますが、表題作の「妖精が丘」は、ほかの本ではなかなかお目にかかれない、風変わりで楽しい物語です。ほかに、「イーダちゃんの花」も、今まで読んだこともないような種類のお話です。「ブタのちょきん箱」は、はじめて読む人が多いことでしょう。こんなこと、アンデルセン以外にだれが思いつくかしら?と思うような内容です。「ナイチンゲール」は、世界じゅうの童話のなかでもとくに美しい作品のひとつと言えるでしょう。どのお話も、いつ読んでもしんせんなおどろきにみちてます。 (ナオミ・ルイス「はじめに」)
ほんと、驚いた。「ブタのちょきん箱」の次に「マッチ売りの少女」! で、次が「妖精が丘」! アンデルセンのお話は全部読んでいるというプライドがからからとくずれます。でも、悔しいことに、「ブタのちょきん箱」、おもしろいの… 「マッチ売りの少女」も、アンデルセン原作よりおもしろいの。くっきりすっきりのお話になっている。 「再話」って言うんでしょうか。ナオミ・ルイスの斬新な編集構成に、エマ・チチェスター・クラークの絵がからまって、およそ五十年ぶりに「アンデルセン小僧」の血が騒ぎました。やはりアンデルセンはすばらしい! ナオミさんのおかげで、自分の書く文章のルーツがアンデルセンだったことを思い知りました。
アンデルセン生誕二百年で湧いた2005年は函館の街でうろうろしていたことを思い出す。「妖精が丘」に出会うまで9年もかかってしまったよ。まあ、その話は、小学生にはしませんけれど。
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