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No.356 への▼返信フォームです。


▼ 長尾宇迦   引用
  あらや   ..2015/12/23(水) 11:04  No.356
   喜代瀬の方が昨日の夕刻に亡くなった。その夜の内に下御屋敷に近い北上川と中津川の落合う中洲で斎川浴(ゆかわあみ)がおこなわれた。……と、盛岡城下の町町に走って触れ廻ったのは、拾得という少年であった。
 寛政三辛亥年三月十五日のことだが、冬が明けたばかりで、川面は氷片(ざい)が敷きつめられたように流れている。斎川浴の習わしは、近ごろ廃れていたか、お屋形の思いつきで、喜代瀬の方にほどこしたもので、この寒冷のさなかに、たとえ相手か死人とはいえ、水浴は無残だと喜代瀬の方に同情する声もきかれた。が、これはいかにもお屋形のやりそうな仕打だと、肯く者のほうが多かった。いまにみろ、お屋形の奇矯な振舞いか始まるぞ、と囁かれていたが、そのとおりになった。
(長尾宇迦「鬼の棲む里」)

江戸が舞台ではない、盛岡が舞台の江戸時代…というところに大きく惹かれるのだが、いかんせん学がない。北海道の人は日本史苦手だし、むずかしい漢字ぎっしりで読むのに時間がかかります。この本を読んでいると、毎日の中で職業柄目を通しておかなければならない本がどんどん貯まってしまうので、作戦変更です。

今はいったん中断して、正月休みに予定している針山和美作品のかため読みが終わったら、今度は短編集『山風記(やまかぜき)』のあたりから展開してみよう。


 
▼ 山風記   引用
  あらや   ..2016/01/25(月) 18:47  No.360
  「座敷童子(ぼっこ)が」と、エクはつぶやいた。
「手を貸してくれねかよう」そのまま眠りにずり落ちた。骨がばらばらになるほどひどく疲れていた。
(長尾宇迦「山風記」)

「風の三郎(サムロ)だべか……」
ノエは、ふと機織の手をとめて、息をのんだ。
雨戸に、バラバラと小石でもはじけるような音がしたからである。
昨夜からの岳おろしは、今夜も吹き荒れていた。
(長尾宇迦「山妖記」)

『山風記』、よかった。
こういう物語が読みたかった。

「エク」とか、「ソガ」とか、「オナ」とか、「クス」とか、「チセ」とか、「ノエ」とかいう、不思議な女の名が耳に残る。それに加えて、「座敷童子」や「風の三郎」までが登場する華やかさですからね。鉄壁の岩手オールスターズだ。



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