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No.382 への▼返信フォームです。


▼ 「その後」の本   引用
  あらや   ..2016/09/22(木) 11:51  No.382
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「正塚さんは?」
 早苗は周りを見ながらきいた。
「別荘」
 森本さんは、つっけんどんに言ってスーツのポケットに手を入れた。
「お金持ちなんだ、正塚さん」
 早苗は正塚さんを見直した。」
「金持ちぃ? 別荘ってのはな、俺たちヤクザが使う言葉で刑務所って意味なんだよ」
 森本さんのひとことが、早苗の胸を突いた。
「刑務所にいるの? 正塚さん」
 早苗の表情が曇ったのを見て、森本さんが面倒くさそうに、
「心配ないって。すぐ戻って来るって。たいしたことで捕まったわけじゃないから、ハイ、ハイ、子どもは向こうへ行った、行った」
と言って、早苗を追い払うしぐさをした。
「よかった。あの、じゃ、伝えてくれますか。わたし、千葉県にある『竹田養護学園』って所に行くんです。正塚さんのおかげですって。お店のニキビのお兄さんにも、もう来ないけど、ありがとうございましたって」
 早苗が言い終わると、森本さんがサッと早苗の腕をつかんだ。
「俺も、そこにいたことある」
 森本さんは、スーツの内ポケットから百円札を出すと、
「少ないけど、これ、餞別」
と言って、早苗に渡した。
「つらいこと多いと思うけどよ、俺たちみたいにはなるなよ」
(上條さなえ「10歳の放浪記」)

南京極小学校の出前図書館。8月の「あの世の本」に続いて、9月は「その後の本」でした。で、『かなしみの詩』を読んでから『10歳の放浪記』に入るという変なことをやったんだけど、結果的に、どっちも良かったから問題なしです。白黒の写真、効きましたね。


 
▼ 「あの世」の本   引用
  あらや   ..2016/09/22(木) 12:13  No.383
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『かなしみの詩』に、小学五年生の早苗が竹田養護学園の本箱にあった『一握の砂』の歌によって内面の自立を果たして行く様子が描かれるですけど、こういう啄木、いいよなぁ。

こういう啄木しかいらないです。



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