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▼ 東京のロビンソン   引用
  あらや   ..2018/09/28(金) 09:07  No.471
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竹内紀吉氏の『影』という作品が載っている関係で、たいまつ社の「小説の発見」シリーズ第一巻をインターネット古書店(埼玉志木の古書店だった!)でゲット。『影』だけでなく、前後の作品をつらつら読んでいると金子きみの名に再会。これが良かったんだよね。

 ひとり暮しの私の出入りする道は、笹藪をよぎって一筋くぼんでいる。公道から十メートルほどだが、すいすいとは往来できない。雨の日や露の朝など通ると、下半身が濡れる。月に一、二度訪れる郵便配達人が、濡れたズボンを指して、不服そうに言った。
「藪、なんとかなりませんか」
「うちには午後に来て下さい。笹が乾きます。雨降りならお天気になってからでいいです」
 一心に言う私の顔を、不審そうに見た配達人は、黙って尻込みするように戻った。久しぶりに訪れた兄は罵った。
「狸の巣だ。よくも尻尾が生えんもんだ」
(金子きみ「東京のロビンソン」)

金子きみさんは北海道生まれ。サロマ湖に近い湧別町芭露の開拓農家の子。「北海道文学全集」にも『赤い靴』という作品が収録されています。赤い靴、きみ、なんとなく赤い靴の彫刻を建てては、何の関係もない薄幸の女の子の実名を暴いて恥を知らないあの連中の類か…との警戒心が働いて今まで遠ざけていたんだけど、この『東京のロビンソン』でチャラになったようです。竹内さん、ありがとう。動いてみるもんですね。




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