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No.528 への▼返信フォームです。


▼ かがみの孤城   引用
  あらや   ..2020/03/22(日) 09:42  No.528
  .jpg / 40.3KB

 別の質問が出た。
「三月三十日ってのは、間違いじゃない? 三月は三十一日までのはずだけど」
 その声は、それまで一人、何も言葉を発さないでいた、ジャージ姿の男の子のものだった。こころが内心で「イケメン」と思ったあの子だ。涼しい目元がこころの好きな少女漫画に出てくる男の子と以てる。
 オオカミさま≠ェ首を振った。
「訂正はしない。城が開いている期間は三月三十日までだ」
「それは、なんでそうなんだよ?」
 彼が尋ねた。
「何か意味でもあるの」
「特にない。三月三十一日は、強いて言ぅなら、この世界のメンテナンス期間なんじゃないか? よくあるだろ。改装のためにお休みします、とかなんとか」
(辻村深月「かがみの孤城」)

三十日までなら、ちょうど読み終わるでしょう。図書館が開いててよかった!
『京極読書新聞』第106号で中学生が紹介していて、なにか面白そうな匂いがしたので読みたかったのでした。
図書館に次の本のリクエストも出して来たし…、読書生活も復元中です。


 
▼ 二月   引用
  あらや   ..2020/03/25(水) 09:38  No.529
   「そういうのも全部、そろそろ直接聞くべきなんじゃない?」
 リオンが言った。全員が「え?」と顔を上げると、リオンが「聞いてるんだろ?」と天井に向かって呼びかけた。それから、誰もいない部屋の向こうの廊下に向かって声を投げる。
「今の話も全部聞いてたんだろ? オオカミさま=A出て来いよ」
「――騒々しいな」
(辻村深月「かがみの孤城」/「二月」)

いいですね。「かがみの孤城」の情景と現実の「雪科第五中学校」の情景の対比が心に滲みる。昔、高校の図書館に勤めていた頃、前夜タウンゼンドのヤングアダルト小説を読んだ頭のままで、朝の学校に出勤しなければならない、あのユーウツな気分を思い出した。最初はマンガの『はみだしっ子』みたいなものを思っていたけど、かなりちがいますね。「かがみの孤城」内の味わいは、私には、タウンゼンド『北風の町の娘』クラスの爽快感を与えてくれます。もうすぐ「三月」になる(読み終えてしまう)のが惜しい。

 
▼ 三月   引用
  あらや   ..2020/03/27(金) 08:31  No.530
  「そんなもんなんだよ。――バカみたいだよね」
 東条さんが言った。こころを見る。
「たかが学校のことなのにね」
「たかが学校?」
「うん」
 こころは驚く思いで、全身で、その言葉を受け止める。そんなふうに思ったことは一度もなかった。
(辻村深月「かがみの孤城」/「三月」)

昔、祖父母の家の屋根裏部屋で一年間自宅浪人をしていたことがある。「じゃーね。(また明日…)」みたいな調子で、佐藤忠良の彫刻がある校庭で別れてから、この六十七になる今まで、もう二度とそいつに会うことはなかった。私の卒業式だった。屋根裏の一年間が、その後の人生を大きく変えた。その屋根裏で、クラスだの、級友だの、進路だの、そんなことは〈学校〉がつくり出した共同幻想にすぎないものだったことに初めて気づいた。

タウンゼンドを思い出したのは、あながち的外れではなかった。

学校が閉じて、卒業式も終えてしまって、今、何をしてよいかわからない人は、ジョン・ロウ・タウンゼンドというおじさんの『未知の来訪者』という本を読んでみてはどうでしょうか。おもしろいよ。



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