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No.737 への▼返信フォームです。


▼ ニッポン・ピカレスク   引用
  あらや   ..2020/03/15(日) 10:30  No.737
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3月7日より「人間像」第71号作業は始まっています。現在、冒頭のP田栄之助『ニッポン・ピカレスク』を終え、次の加藤テル子『城の姿』に入ったところです。
第71号は250ページ超の大冊ですので、いつものように一冊丸ごとの処理を終えてからの公開となると、『ニッポン・ピカレスク』の発表が一ヵ月近くも遅れてしまう。それは、なんとも惜しい、勿体ない、ということで、第71号公開以前にすでに〈P田栄之助〉の項目で『ニッポン・ピカレスク』を公開することにしました。

心ある人たちに読んでほしい。P田氏の著作は生前に発表された『いのちある日に』(講談社,1970.11)一冊がありますが、そこに収録された作品は、
死の環/禿鷹のように/狐憑き/病室にて/日没を前に/別れ霜/雨の中の死者/犠牲者たち
と、昭和四十五年当時の「関西文学」「人間像」「近代文学」発表作品が主で、この「人間像」第70号時代の作品群は陽の眼をみないままの状態が今に続いているわけです。そういうことを思うと、ぼーっと一ヵ月も眠らせておく法はないだろうと考えました。それに図書館が閉まっているこんな時期でもありますし。
本を読みましょう。人間像ライブラリーも、感染リスクや人員減(子どもの面倒をみるため出勤できない職員が増えているのだと思う)に耐えながら開店を続けているスーパーやコンビニの人たちを思いながら作業を続けています。


 
▼ つばさの人   引用
  あらや   ..2020/03/18(水) 18:55  No.738
  昨日から中盤の最高峰、平木國夫『つばさの人』に入りました。『ニッポン・ピカレスク』よりもさらに時間がかかりますので、すでに出来上がっている上沢祥昭『蹌踉の紀』など四篇を先にライブラリーにアップしたところです。

 この同人会の一つの要は平木君だった。元来が詩だけの私は、小説一本やりの型に弱い。平木君のことを他の同人のように描けないのもこの故である。彼は『人間像』に加わるや、『ミセス・ターナー』『秘伝』といった息の長いものを、しかもかなりの表現力で発表して、その時来彼に頭が上らないのだ。
 (中略)
平木君についてのもう一つの思い出は、彼が創作のために、高価な『服飾事典』をもっていたことだ。書くことを本物にするためには、こうした意気込みが必要なんだナと感心したものだったが、何分にも当時で三千円もする豪華本を持つことが許されたのは、生活力の旺盛な彼にして始めて出来たことだった。その経歴を聞いても、彼は私の真似も出来ぬ変転を踏んできていた。それだけに何でもやれる自信をみなぎらせていて、当時『人間像』と『文章倶楽部』の両方で大いに筆をふるっていたのだ。
 門脇は彼の『服飾事典』に一ベツもくれなかった。「知識は文学でないサ」と云ったものを持っていて、少しも動じないのだった。それにも私はまいってしまった。私などとても小説家になれない、そんな屈辱感を改めて抱かされた。平木と云い門脇と云い、佐々木と云い、みんなすっかり大人であった。
(上沢祥昭「蹌踉の紀」)

明日、北海道の図書館の「臨時休館」が一応終わりますね。どうなるのか注視しています。

 
▼ 病床雑記   引用
  あらや   ..2020/03/25(水) 08:55  No.742
  「ボク、パパとネル」と占有権を主張し、みさきを寄せつけない。布団にはいるとすぐ「テングのウタ(はなしのこと)シテ」という。お祭りのときの天狗がよほど恐かったらしく、恐いもの見たさの心理で天狗の話をせがむのである。――渉がバスを運転していく。トンネルの中へ行くと天狗がでて来て、「乗せないと食べてしまうぞ」という。しかたなく天狗を乗せて山の上まで行くと、天狗が降りて行ってしまう。その後ろから渉がバスをぶっつけて、天狗を崖から落として退治をした――というぼくの作りばなしなのであるが、将来バスの運転手になるという自分が主人公になっている話なので、それを聞くのが何よりも愉快らしいのだ。
(針山和美「病床雑記 第6回)

平木國夫『つばさの人』は、すでにデジタル化を終え、ライブラリーにアップしています。現在、最後の難関『病床雑記』を進行中。子どもにお話をしてくれる父親って、この時代では画期的なのじゃないだろうか。本といえば、『ペン習字』教則本と『家庭の医学』の2冊しかなかった家に育った身としては正直うらやましいです。

みさきからは『舌切り雀』と『カチカチ山』をせがまれる。もう幾度も話したものなので、子供自身暗記しているほどなのに、それを話させるのが嬉しくてたまらないのだ。途中で省略でもしようものなら、「ちがう、ちがう」と訂正させ、前と同じように話さないと承知しないのだから、いいかげんぼくの方が疲れてしまう。
(同書より)

 
▼ 「人間像」第71号   引用
  あらや   ..2020/03/29(日) 17:27  No.743
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本日、「人間像」第71号をライブラリーにアップしました。デジタル化にかかった時間は「135時間」。3月7日から始まった作業の延べ日数は「20日間」です。収録タイトル数は「1322作品」。
ちょっと意外な展開。前回の第70号は146ページで、かかった時間は「124時間/延べ日数20日間」です。対して、この第71号、255ページが「135時間/延べ日数20日間」ですからね、今度こそ「ひと月」くらいかかるだろうと腹くくっていたんだけど…
たぶんですが、第71号の印刷所が、いつもの旭川刑務所じゃなくて、倶知安の孔版プリントだったせいではないかと考えています。民間の普通の印刷屋のインクは普通のインク。刑務所のインクはなにか劣悪なのではないだろうか。薄くて、紙もノリが悪くて、OCRソフトで読み取るけれど文字化けが凄い。加えて囚人の誤植。それでワープロ処理に必要以上の時間がかかっていたのだと今回改めて実感しました。
まあ、何はともあれ、今月で第71号を仕上げたのはありがたい。さあ、次へ。第72号は、ついに針山和美『愛と逃亡』の登場です。

 予定作品〈NO3〉をノートに五枚ばかりメモする。70号には間に合わないが、ぼつぼつ体調のよい時に書いていくつもりだ。一昨年石川医院に入院中ヒントを得てノートに記したものの一つだ。題名は決めていないが、殺人逃亡者の次第に追いつめられて行く心理を描きたい。病気に追いつめられる患者の心理と似ているかも知れない。
(針山和美「病床雑記 第6回/二月十日)

今の私たちが知る作家〈針山和美〉イメージは、この『愛と逃亡』の登場によって決定的になったと考えています。作家として生きて行く覚悟が充満した記念碑的作品。闘病生活の深刻化は、針山氏の内面になにか必死なものを生み出している。



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