| TOP | HOME | ページ一覧 |


No.778 への▼返信フォームです。


▼ 「人間像」第77号 前半   引用
  あらや   ..2020/09/27(日) 16:29  No.778
  .jpg / 28.7KB

「人間像」第77号作業に入りました。今日、巻頭の瀬田栄之助『太陽にさからうもの』(116枚)をアップ。

 それはともかく、既成の文壇人が正真正銘の「悪漢小説《ピカレスク》」と折紙をつけた二者がここにある。中原弓彦著『汚れた土地』(副題として――我がぴかれすく――とあり)と野坂昭如著『エロ事師たち』である。
 (中略)
 本格的なピカレスク的考察といった厳めしい角度をぬきにしてこれらを読破したとき、敗戦後の汚辱と混乱に充ちた日本の社会をきわめてシャープな感覚の下にアラベスク模様に活字した『汚れた土地』を、さすかに中原だと感心したし、ことに『エロ事師たち』については、読者を喜ばすだけの対談屋、雑文家にすぎないとしか評価しえなかった野坂への認識を根本からくつがえし、文字通り一級文学作品として瞠目させるものがあった。
(「人間像」第77号/瀬田栄之助「寒い唇のモノローグ(4)」)

というわけで、運良く道立図書館にあった『汚れた土地』を早速取り寄せて、今読んでいるところです。大変興味深い。私は小林信彦の『夢の砦』や『極東セレナーデ』が大好きで、一時期狂ったようにW.C.フラナガンの果てまで読み漁ったものですけれど、この『汚れた土地』の存在には気がつきませんでしたね。というか、まだ頭がガキで、到底『汚れた土地』が抱えている文学空間の領域には反応もなにもしようがなかったと思います。「人間像」の仕事をやっていて良かった。瀬田栄之助や平木國夫の仕事を知った後で『汚れた土地』に出会えたことは私の幸運だと思いました。ガキのままで死なないで済んだ。


 
▼ 途中経過   引用
  あらや   ..2020/10/04(日) 09:33  No.779
  十月に入りましたね。

作業は順調に進んで、昨日までに、古宇伸太郎『子烏』、せんだ・かおす『圧殺の日に』、内田保夫『白き地の迷路』をアップしたところです。今、全190ページの内、115ページ関西同人会の座談会『わが文学の反省と前進』を進行中。

今日は、『汚れた土地』の返却期限が迫っているので、残りを一気に読んでしまってから作業に入る予定です。1967年の「人間像」第77号と1965年の『汚れた土地』を、全く地続きで、何の違和感もなく読んでいる自分が面白い。

 
▼ 「人間像」第77号 後半   引用
  あらや   ..2020/10/11(日) 16:47  No.780
  .jpg / 25.1KB

本日、「人間像」第77号をライブラリーにアップしました。作業にかかった時間は「103時間/延べ日数19日間」。収録タイトル数は「1433作品」に。

しかし昭和二十年四月二十三日に、学生ばかりの特別攻撃が編成された。むかしから飛行機が好きだった私は、大学に入学するといわゆる「学連」(学生航空連盟)に加わって、操縦の練習をし、すでに二等飛行機操縦士で後輩の学生を教えていた。私の遺書を受け取った両親は、そろって十年ぶりに内地に帰り私と最後の別れをしようとした。しかし周囲からとめられて父だけが、母や弟妹と水盃を交わして日本海を渡ってきた。八月六日のことである。そして東京にいた弟を伴って、私の特攻訓練基地にやってきたのは、実に終戦の一日まえであったのだ。母や弟妹の消息がわかったのは一年後で、その半年前、北緯三九度まで南下し逃げのびながら、そのまま釘づけにされ、その地で、寒さと飢えと、加えて発疹チブスとで三人ともが土にかえった。思い出すまいとしても、感慨は深まるばかりである。
(平木圀夫「李ラインを越えて」)

第77号は、針山氏が久しぶりに短歌を発表したことも吃驚だった(まだ書いていたのね!)が、平木氏の『李ラインを越えて』にはもっと驚いた。単なるヒコーキものかと思って作業を始めたら、途中からどんどんこういう深いニュアンスが入って来るのだもの。さらりとドキュメントと銘打っているけれど、いつもの平木氏の小説作品と変わらない大人の人生観を受け取りました。

今、小林信彦『虚栄の市』を読書中。明日から第78号「作業」に入ります。国が最近「デジタル化」を言い出すようになって来て、それはなにか私の考える「デジタル化」とは意味合いが違うように感じます。同類だと見なされるのは心外なので、当面「作業」の言葉を使うことにしました。「デジタル・ライブラリー」の言葉は使うけれど、「デジタル化」は不用意に使わない。



Name 
Mail   URL 
Font
Title  
File  
Cookie  Preview      DelKey