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No.854 への▼返信フォームです。


▼ 「人間像」第93号 前半   引用
  あらや   ..2021/08/27(金) 16:59  No.854
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8月23日より第93号作業に入りました。本日、津田さち子『大和ばかの記(7)』、平木国夫『亀勇という女』、上沢祥昭の詩三篇などを人間像ライブラリーにアップしたところです。そしてこれから蛭子可於巣(=千田三四郎)『詩人の斜影』作業に入ります。長いし、ルビ多いし、かなり手間暇かかる作品なので、今度ご報告する時は九月になってしまうことでしょう。かくて、短き北国の夏は終わりぬ。

個人的にも『詩人の斜影』は懐かしい作品です。今から二十年くらい前、千田三四郎が「人間像」同人だったとはつゆ知らず、主に〈啄木〉方向から千田作品を夢中で読み漁った時期があるのです。どの作品も印象深かったが、『詩人の斜影』はその中でも洞爺丸台風クラスの衝撃だった記憶がある。その伝説の作品に今ここで再会するなんて、人生って不思議なもんだな…とちょっと思う。


 
▼ 詩人の斜影   引用
  あらや   ..2021/09/06(月) 11:54  No.855
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 紳士の歯ブラシのような髭がだんだん目障りになり、このような一方的な饒舌のお相手がしんぼうしきれなくなったのです。無下な断わりで、しなければならぬ煩瑣な応答に手間取るよりは、面倒をなるべく避けたくもあったのです。早く帰ってもらうためにと安易に考えて、しまってあった問題の詩集を取り出してきました。しかも汽車が停留する小都市の駅へ紳士を送る馬車の手配までも牧童に指示して。
 だが慎司は、詩集を他人の目にさらしたとたんに、これまでの思惑が激しい後悔へと揺れ動きました。紳士の好奇心が髭のかげで卑しげに相好を崩していそうなひがみすら覚えて、芳江の名がしるされた見返しに指先が、たばこのニコチンの沁みたそれがさわったとき、いましがたの投げやりな迷いとは裏腹に、清潔なはずの妻の肌がたちまち汚されてゆくような逆撫での悪寒に耐えねばなりませんでした。
(蛭子可於巣「詩人の斜影」)

本日、『詩人の斜影』、アップです。ルビ処理に丸々二日間かかったよ。上の十行ばかりの文章に、饒舌《じょうぜつ》、煩瑣《はんさ》、思惑《おもわく》、相好《そうごう》、沁《し》みた、逆撫《さかな》で…とルビが入る。それが延々50ページばかりも続くのだから往生しました。でも、名作を無事仕遂げた安堵感で今は胸いっぱい。

これも吉田孤羊。『詩人の斜影』を読んだ後、啄木会時代、ミーハーで北村農場ツアーに参加したしたことを恥じたものでした。今は和解したものか、農場に「バタ」歌碑も建っています。

 
▼ 「人間像」第93号 後半   引用
  あらや   ..2021/09/17(金) 09:22  No.856
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昨日、「人間像」第93号作業を完了しました。作業にかかった時間は「112時間/延べ日数22日間」。収録タイトル数は「1766作品」になりました。

第91号の「90時間/延べ日数16日間」に比べ1.5倍くらいの時間がかかっているのは、『詩人の斜影』と『ある文学徒集団の歴史(3)』があったからでしょう。
収録タイトル数も「1662作品」から「1766作品」に跳ね上がったのは、『ある文学徒―』の仕事をやっていると、付随的に初期の「道」「人間像」作業の見直しをしなければならなくなるからです。今回も、過去の同人〈木下博子〉〈奥山昌子〉〈別府u〉の全作品をエントリーしました。
『ある文学徒―』第3回が扱っている時期は「活版印刷前夜」とでも云える時期です。自前のガリ版から孔版印刷(プロのガリ版)へと移って来て、同人もそれなりに腕を上げ、例えば渡部秀正『不安な年代』や葛西庸三『腐敗せる快感』などといった力作が生み出せるくらいには成熟して来た時代です。(といっても、『不安な年代』を書いた時の渡部さんは小樽の高校三年生ですからね、恐れ入ってしまいます…)
「人間像」が活版に踏み切る時期というのは、「人間像ライブラリー」的に云うと漸く現在の検索システムがホームページに登場した時期にあたります。仕事を始めた四月以来、自分が今作っているファイルが形になるのかどうか判らない不安から解放された時は本当に嬉しかったなあ。

画像は第18号の裏表紙。ついに裏も使うようになりました。孔版時代の華とでも申しましょうか。



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