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薮岩魂、著名な山岳ライター打田^一さんをご存じの方は多いだろう。その奥さんから、友達と行くからどこか山を案内せよとのお達しである。
そんなのご主人に案内してもらえばいいじゃないですか。そう言ったが、ご主人が行くような山では、とても友人を誘ってのんびりと、というわけにはいかないらしい。さもありなん。
では軟弱山の権威、私がひと肌脱ぎましょうと向かったのはまたしても霧ヶ峰であった。そもそもご所望が、車山ではどうだろうということだったからだが、目をつぶっても歩ける観光地、車山では案内がついていくのにもったいない。でも小淵沢10時では行けるところも限られている。
そこで思いついたのはカシガリ山だった。薮も岩も皆無、急登なんて薬にしたくもない。全行程、一度も広大な風景が途切れることのない山歩きである。黄砂のせいか北アルプス方面はぼやけていたから、八ヶ岳方面が展望の主役のカシガリ山はちょうど選択がよかった。
八島湿原から先のビーナスラインの冬季通行止が解除前で、行き交う車もごく少ない。最盛期だって人のいないカシガリ山も当然のごとく貸切だった。
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