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読書会BBS

 
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▼ 人間の岬   [RES]
  あらや   ..2011/03/28(月) 20:27  No.230
   統佑はちょっと訝しそうな顔をした。
「三月の三陸地方を襲った大津波で、肉親をいっぺんに亡くしてしまったんですもの、おなじ漁師仲間はわがことのように同情してますよ」
 つらそうな表情になって、たみ子はやや硬い声でいった。
 三月三日、三陸地方に大地震が起り、つづいて発生した大津波のために沿岸一帯は甚大な被害を受けた。大津波はあっというまに浜に繋留してあった漁船を片っ端から押し潰し、陸地に襲いかかってきた。
 はじめは遠くの水平線がギザギザの形で盛りあがったと思うと、海全体が立ちはだかった形で白い牙をむき、凄じい速度で押しよせ、村や人家をまるで空から叩き伏せるようにして、上陸したのである。
 この未曾有の大津波で、海沿いの低地にあった人家や田畑はすべて流され、三陸地方全体の死者は千五百三十五名にのぼり、流失家屋は三千五百戸にも達した。深い入江のある天然の漁港、陸中野田の青柳の実家も大津波の襲撃をまともに受け、年老いた母親、兄夫婦、その二入の子どもたちは、一瞬のうちに大波にさらわれてしまったという。
(夏堀正元「人間の岬」)

昭和五年三月、鰊漁に沸く積丹半島美国の浜で始まった笹沼勉三・十九歳の物語。あれよあれよという間に、時代の嵐の中を「マンチュリアン・リポート」まで突っ走ってゆく夏堀正元氏の馬力には驚きます。脱帽。
尼港事件、第一回普選、多喜二の拷問死、満州… 美国のヤンシュウたちの物語も続くけれど、合間合間には抜け目なく、滝川事件、三原山の自殺ブーム、死のう団、東京音頭などの話題も落とさない。もちろん、「三陸津波」も、引用のように巧みに物語の中に織り込んでしまう。見事なものです。

平成23年3月の東日本大震災。これからの日本人の生き方が変わるでしょうね。
今、いらないものは、これからも、いらない。


 
▼ 失速  
  あらや   ..2011/04/03(日) 07:33  No.231
  最後の2、30ページがつらかった。目が前に進もうとしない。もうすぐ話が終わろうとしているのに、まだまだ延々と「中共」話をやってんだもん。「美国」の最高の素材を、こんな風に料理するかな。

 先生は両手をしばらく宙に上げ、それから膝の上に下ろした。「私が大学をやめ、エリの父親もその二年後には大学を離れた。彼は当時毛沢東の革命思想を信奉しており、中国の文化大革命を支持していた。(中略)毛沢東語録を掲げることは一部のインテリにとって、一種の知的ファッションにさえなっていた。彼は一部の学生を組織し、紅衛兵もどきの先鋭的な部隊を学内に作り上げ、大学ストライキに参加した。彼を信奉し、よその大学から彼の組織に加わるものもいた。そして彼の率いるセクトは一時けっこうな規模になった。」
(村上春樹「1Q84」)

「人間の岬」のようなメンタリティは、すでに村上春樹によって完全に消化・吸収されていると思います。


▼ ウラジオストクから来た女   [RES]
  あらや   ..2011/03/04(金) 10:20  No.228
  「それにしても深瀬先生。お見事な鑑定です。西洋医学でこんなに明快な鑑定を拝聴したのは初めてです」と言う五条に、
「何を言うんですか、次席……」とそばで大内が説明した。
「明治の初めから深瀬先生を中心にした函館病院は、函館に住む西洋人がみな信頼していたもんだ。覚えておいでですかな、先生。あれは確か明治十一年のことだったの。蝦夷地のアイノのことを知りたいと函館にやって来た旅行家と称する五十がらみの英国女が、病院を見学してゆきましたが……」
「ああ、英国領事館のユースデン領事が案内してきたことがあったな」
「私は警備を命じられてついて歩いたども、その女は病院のことを、手術や消毒のやり方まで詳しく調べていったの。足を切断して二十日余りなのに杖をついて歩いていて退院間近だという患者を見て、日本の北の外れの町でこんな優れた西洋医学の技術を持った病院があるのかと驚いていた。あの女、何という名前だったか」
(高城高「函館氷室の暗闇」)

前座の耳障りな歌なんか、忘れてしまった。

さあ、明日の製本教室、頑張るぞ!



▼ ニサッタ、ニサッタ   [RES]
  あらや   ..2011/01/18(火) 10:47  No.224
  奉天の地、去りがたく候…

という気持ちいっぱいではあったのだが、やはり別れの日は来る。最後のページは来る。幸運だったのは、次の知床物語にうまく転生できたこと。

派遣村にも並ばず、民主党に投票すれば仕事が見つかるかもしれないなどという愚かな幻想を抱かなかっただけでも、あんたはえらいと思うよ。


 
▼ 地のはてから  
  あらや   ..2011/01/25(火) 21:22  No.227
   僕の前に道はない
 僕の後ろに道は出来る
 ああ、自然よ
 父よ

ご存じ、高村光太郎の「道程」。ふーん、こういう文脈で、この詩は読むのか…と、とても感心しました。ほとんど、目ウロコです。楽しく読書中。


▼ センセイの鞄   [RES]
  あらや   ..2011/01/24(月) 19:35  No.226
  浅田次郎の「蒼穹の昴」シリーズは余韻がかなり強烈でした。「マンチュリアン・リポート」が終わった時、これからどうしようかという感じになったけれど、それを乃南アサの「ニサッタ、ニサッタ」につなげてくれたのは、あるいは、その間に谷口ジローの「センセイの鞄」が入ってくれたからかもしれない。

中で、ショット・バーの場面が出てくるのだけど、しっかりカウンターにニッカの「余市」ラベルが並んでいたのには感心。あれ、うまいよね。お歳暮で貰って、正月に飲んでいたけれど、幸せでした。



▼ 聖書は名言の宝庫です   [RES]
  onesimo [URL]   ..2011/01/18(火) 20:54  No.225
  忍耐は力の強さにまさる。

自制の力は町を占領するにまさる。 箴言 16:32



▼ ビーフハート   [RES]
  あらや   ..2011/01/15(土) 09:03  No.223
  朝からキャプテン・ビーフハートの音が聴こえてくるので(ピーター・バラカンのFM)何事?とか思ったんだけど、ビーフハート、亡くなったんですね。

http://news.goo.ne.jp/article/sponichi/entertainment/kfuln20101219006012.html

昔のLP、聴きたいな。(生活が安定したら、贅沢してプレイヤーを買おうとか思っていたんだけど、あたふたしていて未だに果たしていない…)

ご冥福を祈ります。



▼ 蒼穹の昴   [RES]
  あらや   ..2010/11/28(日) 14:32  No.216
   万歳爺 万歳爺
 奴才は 口がさけても申しませぬ
 乾隆様のお匿(かく)しになった
 あの龍玉のありかなど

♪ わお、ドラゴンボールだったのか。

「マンチュリアン・レポート」読みたいので、ここで、意を決して「蒼穹の昴」から全部読むことにしたのです。今週は、葬式があったり、庭の冬囲いを慌ててやったりして、ちょっと疲れた。明日は暴風雪の天気予報が出ているので、こちらで本を読んで一日骨休めしてます。冬だなぁ。


 
▼ 中原の虹  
  あらや   ..2010/12/13(月) 07:44  No.218
  「どうした、雷哥(レイコウ)。腹っぺらしのいねえ町がそんなに珍しいか」

お、今度はポケモンか。芸が細かいな。

小さいポイント、二段組の「蒼穹の昴」に、ひーひー言いながらも読了。旨いものに出くわした喜びにつつまれる。普通の組の「中原の虹」が目にやさしい。

 
▼ 没法子  
  あらや   ..2011/01/04(火) 22:27  No.221
  「雷哥。私ね、誰も恨んだりしないよ。ちょっとびっくりしたけど、とても嬉しいよ。少爺がね――ほら、知ってるでしょ、梁家屯の少爺だよ。少爺がね、私をお嫁さんにしてくれたんだ」
 顔をもたげると、藍衣の人が微笑みかけていた。

「俺は、悪党になっちまった。でも、この襟巻のおかげで、没法子(メイフアーヅ)と言わずに生きてきた」

涙ぼろぼろの、正月4日未明ではありました。

 
▼ マンチュリアン・リポート  
  あらや   ..2011/01/05(水) 09:49  No.222
  「ところで、ここはどこかな」
 覚めきらぬ頭の中で、私はここがてっきり生まれ故郷のコッツウォルズだとばかり思いこんでいた。だがそんなはずはない。棟梁と一緒にはるばると海を渡ってきた私が、再びふるさとに帰るはずはなかった。

うう、今度はトーマスだ。

イチロー並みの、驚異の強打率。


▼ 聖書より   [RES]
  onesimo [URL]   ..2010/12/30(木) 22:54  No.220
  たとえ、千年の長寿を二度繰り返したとしても、

幸福でなかったなら、何になろう。コヘレト6:6




▼ つづきの図書館   [RES]
  あらや   ..2010/12/17(金) 11:10  No.219
  「青田早苗ちゃんのつづきが知りたいんじゃ!」
はだかの王様が桃さんに語ります。

http://shop.kodansha.jp/bc/aoitori/park/19library/index.html

「中原の虹」を一時休んで、南京極小学校・出前図書館ブックトークのための資料揃え。子どもたちのためというより、こういう本に出会えることができるのは、ほんと、自分のためでもありますね。(Web小説って、はじめて読んだ…)



▼ 殺人の多い料理店   [RES]
  あらや   ..2010/11/16(火) 10:42  No.214
   序
 わたしたちは、キオスクで売っている機能飲料をのまなくても、吹きっさらしのホームの風に鼻をすすり、黄色くにごった朝日の光をあびることができます。
 またわたくしは、デパートや量販店でブランドのきものが、しばらくすると流行遅れや安物になるのを、たびたび見ました。
 わたしたちは、そうしたのみものやきものが、決してすきとはいえないけれど、でもしかたなしにつきあっています。
(辻真先「殺人の多い料理店」)

はっはっは。


 
▼ イーハトーブの幽霊  
  あらや   ..2010/11/16(火) 10:44  No.215
  1996年の(もうそんなになるのか…)宮沢賢治生誕百年の時って、本当に、いろんな「賢治もの」作品が生まれていたんですね。ちょうど、その頃の本が書庫入れの時期に入っていて、毎回作業の度にそんな「賢治もの」が書架のあちこちから出てきます。で、今頃、読んでいるの。宮沢賢治の場合、ご当地観光話題に加えて、賢治作品そのものもふんだんにネタに折り込むことができますからね。書き手にとって、こんなにおいしい素材は滅多にないんでしょう。事実、今でも美味しい。








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