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佐々木譲はウールリッチ好きなのである。強く影響を受けているがゆえに、近年はあからさまにそれをうちだすことにためらいがあったのだろうが、この作品では、その抑制をすこしといている。そもそも『夜にその名を呼べば』というタイトルからして、ウールリッチ的で、彼の小説にある悲哀と孤独と絶望を醸しだしていて印象的ではないか。 (佐々木譲「夜にその名を呼べば」/解説:池上冬樹)
ふーん、ウールリッチ…
『夜にその名を呼べば』は、ウールリッチへの愛を率直に表明したサスぺンス小説といっていいだろう。ウールリッチのファンなら、ある代表作へのオマージュであることが最後にわかるはずだ(佐々木譲自身、先のエッセイで、物語の原典は何々であると正直に語っている)。その代表作を愛する作家は多く、実は過去に山本周五郎がそのまま時代小説に置き換えて凄まじい復習劇(しかしもちろん何ともいえない悲哀と哀愁と絶望にみちた傑作)をつくりあげている。山本周五郎の場合はほとんど換骨奪胎に近いが、佐々木讓はオマージュといっても換骨奪胎ではなく、激変する時代の流れをおさえ、群像劇風な味わいをつけて、見事なサスペンス小説に仕立てている(なお、ウールリッチと山本周五郎の関係については拙著『ヒーローたちの荒野』で詳しく検討している)。 (同解説)
「ある代表作」って何?
「山本周五郎の時代小説」のタイトルは?
なんか、ミステリーの素人には持ったいぶった書き方なんですが、ファンだとこういう風に書くのがカッコいいということなのでしょう。昔だと、直で池上冬樹著『ヒーローたちの荒野』に向かうのだろうけど、今はウィキペディアで難なく一件落着だからね。身も蓋もない世の中になったもんだ。でも、ウィキペディアで「ある代表作」に辿り着いた奴の頭が良くなったかどうかは別問題だという気がします。
小樽か…
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