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読書会BBS

 
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▼ 望遠   [RES]
  あらや   ..2013/01/21(月) 08:32  No.284
   シギは長いくちばしを浅い水の中に垂直に突き刺して餌を探り、水辺を歩きまわっていた。若者が煙草を揉み消してカメラに向き直ろうとしたその時、シギはちょっと立ちどまって、しゃがれた低い声で啼き、両の翼を拡げて伸びをした。
 若者は一瞬体を硬直させ、あわてて振り返り鳥を見直した。シギが拡げた翼の裏側に、オグロシギなら必ずある白い幅広のベルトがなかったのだ。見落としようのない、はっきりしたオグロシギの目印が、その鳥にはないのだ。それに啼き声だ。「ケーッ」と一声のオグロシギの啼き方ではなかった。
「まさか……」と若者はつぶやいた。
「シベリヤ・オオハシシギ!」
(稲見一良「ダック・コール」/第一話「望遠」)

おお… ブラッドベリの「イラストレイテッド・マン」に想を得て書かれたそうだけど、第一話の「望遠」で軽ーく持って行かれましたよ。

全部、買おう。90年代の本なので、小樽の小さなブックオフでは「ダック・コール」しか見つけられなかったけれど、札幌に出ればなんとかなるだろう。(意外と、倶知安とか、長万部とか…) こういう作品に、お手軽アマゾンは失礼な気がする。

いやー、それにしても端正な日本語だな。読んでいてゾクゾクしてくる。


 
▼ パッセンジャー  
  あらや   ..2013/01/31(木) 18:42  No.285
  第二話「パッセンジャー」もよかった! ただ…昔の文庫本って、すごい活字が細かいの。年とると、けっこうキツいです。でも、読みますけどね。

ちょっとだけ寄り道して、今はスティーヴ・ハミルトンの「解錠師」を先に読んでます。原題「The Lock Artist」。当然「Rock Artist」とかけているんでしょうけど、カッコいいやね。横山秀夫「64」も先に読むかもしれない。予約の関係で。

 
▼ 密猟志願  
  あらや   ..2013/02/18(月) 19:08  No.288
  稲見一良(いなみ いつら、1931年1月1日 − 1994年2月24日 )は、日本の小説家、放送作家。大阪府大阪市出身。
記録映画のマネージメントを務める傍ら、1968年文芸誌の新人賞に入選、しかし多忙のため作家活動に専念しなかった。1985年肝臓癌の手術を受けるが全摘ができないと分かると、生きた証として小説家活動に打ち込むと周囲に宣言し、1989年『ダブルオー・バック』にて本格的に小説家デビュー。1991年『ダック・コール』にて数々の賞を受賞し期待されるも、1994年わずか9冊を残して癌のため没した。
作品は自身の趣味であった猟銃の知識を生かしたハードボイルドな推理小説で、少年の視点・目線やニヒリズムを取り入れたものであった。
(ウィキペディア)

うーん。たわけた本がうじゃうじゃいた印象のある90年代だが、こんな人もいたんだね。第三話「密猟志願」、第四話「ホイッパーウィル」に入っても全然衰えない。ラストシーンがびしびしキマること… 凄い、凄い。血圧の薬を待っている病院の待合室で、第五話「波の枕」も読んぢゃった。

 
▼ デコイ  
  あらや   ..2013/03/01(金) 08:44  No.289
   俺はデコイ……ダック・デコイだ。いや、元デコイというべきかな。
 おとり、罠、カモをおびき寄せる木で作ったカモ、カモに似せた木偶……どう言ってみてもパッとしない、所詮は日蔭者さ。
(稲見一良「ダック・コール」/第六話「デコイとブンタ」)

これも凄いや… デコイが最終話を語り出すに至っては、もう言葉もありません。たいした宇宙観だと思う。ほとんど宮沢賢治じゃないか!

 カモが下りる川や池の水面に、猟師が浮かべる贋のカモだ。仲間がいると思って安心して下りて来たカモを、物蔭から猟師が撃つ。カモもおとりも一緒くたに撃ちかける。だからデコイの体には、無数の鉛弾が食い込んでいる。目は潰れ、噛の先は吹っとび、尾は欠ける。ささくれて、ひび割れた体の上から、またペンキを塗られる。
 俺だって、歴(れっき)としたマガモだが、塗り直されてカルガモ擬(もどき)になり、やがて、形だけはカモに似た正体不明の体色に塗り重ねられた。今や俺は、あの卑しいカラスのように真っ黒な、燃え残りの木の塊りみたいな物になり果てた。

書き写していて、身体中が痺れてくる。何頁でも、疲れない。


▼ 回廊封鎖   [RES]
  あらや   ..2013/01/05(土) 18:13  No.282
   「すまないけど」と重原は隣りの男に言った。「もしよければ、読ませてくれませんか」
 隣りの男は、ここにいる男たちの中では若いほうだろう。五十歳前後か。髪も豊かで、しかも黒々としている。重原はこれまでも二、三度、この男をこの会議室で見ていた。きょうは、福島を救え、と英文で書かれた青いTシャツを着ている。
 「あ、これ?」と、青いTシャツの男は言った。「いいよ、やるよ」。
(佐々木譲「回廊封鎖」)

 まだ福島原発事故の収束の目途も立たない晩夏の深夜だった。東京の夜は、いまだに事故前の明るさには戻っていない。照明を控える自粛の空気が続いているのだ。警察官ならずとも、この秋は犯罪が多発するのではないかと思えるような、夏の終わりだった。
(同書より)

随所に出てくる「福島」。事故後の世界を生きる私たちの物語が今日も動いている。「回廊封鎖」は久しぶりに佐々木譲の威力を感じましたね。ハズレがほとんど無いので愛読しています。次は「地層捜査」。


 
▼ 北帰行  
  あらや   ..2013/01/21(月) 08:24  No.283
  「地層捜査」も早々に読み終え、次、以前うっちゃっていた「北帰行」へ。前の時は(佐々木譲にしては意外な)出だしの安っぽさにちょっと退いちゃったんだけど、今回は見事に着地成功です。チープなりに、ラストまで首尾一貫してチープさを押し通すと、けっこう余韻が残るもんだなという不思議な小説でした。(「イエロー・サブマリン音頭」みたいだね…)

佐々木譲の定期的おさらいは、今回はこれでお終い。 ↑「稲見一良」という、なにかもの凄いものが出現してきて、デイヴィツド・ピース以来の緊急出動態勢に入りました。

 
▼ 荒木町  
  あらや   ..2013/02/16(土) 21:22  No.287
  今、アド街で「荒木町」。

「地層捜査」の町が出てきて、ちょっと嬉しい。しかし、食い物ばっかりだなー。テレビは、NHKと東京12チャンネルがあれば、あと、いらないんじゃないの。


▼ 無題   [RES]
  しゅう   ..2013/02/12(火) 18:43  No.286
  初めましてしゅうです。よろしくお願いします。



▼ 猟犬探偵   [RES]
  あらや   ..2013/01/01(火) 11:37  No.281
  「あんたは知っているのか あの老人がどこに行こうとしているのか」
「…札幌」
「え?札幌だって!?」
「何があるというんだ 札幌に?」
「田畑さんが信頼する唯一の人がいるの」
「獣医よ 明田博士」
「この先生にヴェガが伝染病じゃないことを証明してもらおうとしているのよ きっと」
(谷口ジロー「猟犬探偵Aサイド・キック」)

朝六時に目が醒めて、たらたら読み始めたら「セント・メリーのリボン」で勢いがついて、「サイド・キック」まで布団の中で一気に読んじゃった。あけましておめでとう。快調な年になりそうです。どのページを開いても、つい、そこから読み始めてしまう。余韻がすごい。

原作の稲見一良(←「いつら」って読むそうです)にも興味持ちました。若くして亡くなった作家だそうで、ハードボイルドの世界では伝説の人だそうです。



▼ 夜明け遠き街よ   [RES]
  あらや   ..2012/12/31(月) 15:30  No.280
  小樽駅直前の列車の中で「夜明け遠き街よ」読了。余市から乗ってきたバカ女二人がとても煩かった。それぞれスマホのゲームをやりながら、合間にしゃべってやんの。(身体は大人だけど、頭は小学生だ…) 厄年の年のフィナーレに相応しい車内ではありました。
去年の暮れのように、全員がスマホの間抜けな指という光景が若干変わっていましたね。本が復活していた。スマホもやるけれど、いったん切り上げたら、本を開く人が数人という光景。あと、タブレット野郎が今年は消えていましたね。(みんなビンボー人ぽかったもんな…)

高城高「夜明け遠き街よ」に合う写真と思ってあれこれ探したんだけど、そういうの、なかった。波長が私とちがうみたい。



▼ トーキョー・イヤー・ゼロ   [RES]
  あらや   ..2012/12/16(日) 15:07  No.279
  ミサイル飛んだところで驚きもせんよ。脅威も感じないしな。三日前の新聞記事に過ぎない。もしも横田めぐみさんや田口八重子さんの命になにかあったら、その時は、1年以内に核ミサイル開発してピョンヤン・イヤー・ゼロにしてやる。

昔、田口ランディが出てきた時、男(男だと思っていた…)がここまで女の内面を描くとは凄い時代になったもんだなぁと思ったもんだが、「トーキョー・イヤー・ゼロ」を読んでいて、アメリカ人(アメリカ人だと思っていた…)がここまで日本人を描くことに愕然とするものを感じました。松本清張「日本の黒い霧」より重低音…かと。

デイヴィツド・ピース David Peace
1967年、イギリス、ヨークシャー生まれ。1994年、東京に移住。
1999年、『1974 ジョーカー』で作家デピュー。2003年、文芸誌「Granta」の選ぶ若手イギリス作家ベスト20のひとりに選ばれる。2004年、第四長編『GB84』でイギリスでもっとも伝統ある文学賞ジュイムズ・テイト・ブラック記念賞を受賞。
現代イギリス文学の旗手。
ジェイムズ・エルロイ、ジム・トンプスンらの暗黒小説を愛し、ジェイムズ・ジョイスやサミュエル・ベケットらに傾倒、ミステリと文学の垣根を蹴破る鬼才。上田秋成と泉鏡花の流儀で描いた暗黒小説として本書は書かれた。占領期の東京で発生した三つの怪事件をモチーフに、敗戦の絶望から抜け出し、「反共の防波堤」として復興する日本を描く《東京三部作》第一作でもある。
現在も東京在住。
(「トーキョー・イヤー・ゼロ」著者紹介)

氷解です。ジョイスの線は、あながちハズレでもなかったんだな。上田秋成、泉鏡花か… 昔、札幌の古書店でプロレタリア文学作品を漁っている欧米人(白人)を見かけたことがあるんだけど、案外、この人だったのかな…



▼ 水没都市   [RES]
  あらや   ..2012/12/08(土) 16:27  No.277
   ふたりは急ぎ足で遊歩道を逆戻りして、そっと淡海水にはいった。水をかきわけて進むうちに、この地域に林立している古い邸宅の一軒にたどりついた。一階は完全に水没して崩れかけていたが、二階には身を隠す場所がある。トゥールがこの一帯を仕切っていた連中に話をつけて、三人は二階の部屋を使っていいことになっていた。ここを選んだのは、二階の窓のひとつから下の遊歩道や、船が見えるからだ。立派な隠れ家で、そのうえトゥールという用心棒がいれば、だれかにちょっかいを出される心配もない。ニタは泊まれる場所があるだけで満足して、蛇やゴキブリがいたり鳩の巣があったりしてもほとんど文句をいわなかった。
(パオロ・バチガルピ「シップブレイカー」)

そうか、これはヤングアダルト作品なのか。読んでいて、バチガルピにしては淡白な作品だなぁと思ったけれど。(それでも、ブラッドベリ級の悪夢さ加減の品質は見事…) アメリカン・ヤングアダルト、やりますね。

「ねじまき少女」のメコン川に沈むバンコク、「シップブレイカー」のニューオリンズ、私のいちばんの急所を突いてきて、とても快感です。次作「The Drowned Cities」(←これもYA作品だそうです)が待ち遠しい!


 
▼ さっさと上げろ!  
  あらや   ..2012/12/10(月) 16:32  No.278
  北ミサイル噴射装置トラブル?予告初日発射なし(讀賣新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121210-00000215-yom-int

ほんとに頭の悪い国だな… もう半人やiPS細胞が登場している時代に、こんな二十世紀の科学技術ができないなんて笑止千万。ロシア革命からまもなく百年。馬鹿で残酷な人間ばっかり生み出した。


▼ 占領都市   [RES]
  あらや   ..2012/11/28(水) 19:30  No.276
  バチガルピ「シップブレイカー」がすぐ次に控えているので、今日書かないと、来年一月まで間が空いてしまう… で、パソコンに向かったのだが、やはり身体が疲れてしまっている。昨日の大暴風雪の中を動きまわり、帰ってきた夜の8時からの雪かきはちょっとつらかったです…(厄年のフィナーレか)

デイヴィット・ピース「占領都市」、よかったですよ。現代詩やジョイスで鍛えているから、難解!なんて全然感じなかった。(沼田流人の方が凄いよ…)

十二本の蝋燭の灯の内(内面)にすーっと入って行く感じがとてもよかった。「シップブレイカー」が終わったら、「小平事件」の方も読んでみよう。



▼ ひとりぼっち   [RES]
  あらや   ..2012/08/25(土) 17:55  No.271
  静かに、静かにタウンゼンド熱が続いています。今はアマゾンがあるので、古い児童書も比較的簡単に探すことができる。ありがたいことです。

1983年発表の「ジャングル街」ストーリイ。神宮輝夫さんの解説、懐かしいです。大切なものを教えてもらった。


 
▼ 愛ときどき曇り  
  あらや   ..2012/10/14(日) 11:18  No.275
  急かされることが多い毎日、こういう本が手元に今ある人生に秘かに感謝しています。それにしても、この本の造りは美しいですね。昔の筑摩書房版「宮沢賢治全集」(イギリス海岸のクルミのイラストがついていた)の造本も記憶に残る作品でしたが、この晶文社のタウンゼンドもそれに匹敵するのではないかと感心します。A4サイズの変形(横15ミリカット)、2段組。手にしっくりと馴染みます。この造本で「タウンゼンド全集」、誰か出版してくれないかな。「さよなら、教授さん」、読みたいよ。


▼ シャインロード   [RES]
  あらや   ..2012/10/11(木) 08:16  No.274
  OK。児童書の棚に置くのはちょっと違和感おぼえるので、(小説と同じく高卒だけど)一般書の郷土資料コーナーに入れましょう。
ただ、表紙の絵はちがうなぁ。桜陽から降りてくる坂から見える海は、こんなですよ。









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