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司書室BBS

 
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▼ 「人間像」第83号 前半   [RES]
  あらや   ..2021/01/14(木) 09:15  No.799
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本日、第83号の巻頭作品、佐々木徳次『水の柩』、北野広『反省書』をライブラリーにアップしました。以降、小説作品は、金沢欣哉『温泉ノート』、針山和美『女囚の記』と続きます。第83号は約90ページの薄い(と感じるようになりました)本ですので、一週間ぐらいでゴールかもしれません。

今回は『女囚の記』をアップすることになるので、第83号作業が終わった時点で、単行本『愛と逃亡』(『愛と逃亡』『支笏湖』『女囚の記』を所収)の復刻を考えています。雑誌「京極文芸」発表形、「人間像」発表形、単行本発表形の違いをお楽しみください。
同じく、単行本復刻を予定しているものに『百姓二代』がありますが、こちらは「人間像」に『山中にて』『嫁こいらんかね』が発表されてからのアップとなります。


 
▼ 女囚の記  
  あらや   ..2021/01/16(土) 13:56  No.800
  本日、金沢欣哉『温泉ノート その二』、石井健吉『荒れ果てた町』、針山和美『女囚の記』の三篇をアップしました。

 私達はまず巡査や駅員を買収することから仕事にかかりました。食料やお金に困っていたのは巡査も駅員も同じでしたから、私が届けた米や澱粉や野菜などは大変よろこばれました。とにかく給料といいましてもインフレに追いつかないありさまでしたし、規則どおりにやっていては誰もが食べて行けない時代でしたから、巡査も私達のすることは見て見ぬふりをしてくれました。また当時は汽車の切符を買うのにも、朝早くから行列をしなければなりませんでしたが、出札係を買収することによりまして、大阪や広島までの往復切符をたやすく手に入れることができたのです。といいましても、食糧の運搬などを大々的にはできませんでしたから、チッキや小荷物で、できるだけ値の張る小豆や花豆や澱粉などを送り、大阪や京都の菓子屋などに高く売りつけるのでした。そして帰りには中古の衣類や時計・ライター・シガレットケース・貴金属、時には電球のようなものまで買って来ました。大阪や京都にはそうした闇市がたくさんありました。敗戦直後の北海道はほんとうに物資が欠乏していましたから、どんなものでも飛ぶように売れたのです。
(針山和美「女囚の記」)

やあ、懐かしいなあ。「京極文芸」の日々を思い出す。現在の、ニセコと倶知安の違いもわからない輩が垂れ流す「ニセコ」報道にうんざりしている身にとって、針山作品は、私たちが何者であるか、何処から来た者であるかを教えてくれる。

 
▼ 「人間像」第83号 後半  
  あらや   ..2021/01/19(火) 16:39  No.801
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本日、「人間像」第83号をアップしました。作業にかかった時間、「37時間/延べ日数7日間」。収録タイトル数は「1510作品」になりました。
今日は一日中暴風雪。朝から雪かきで身体がくたくたなので、明日からお約束の単行本『愛と逃亡』復刻作業に入ります。

ところが更に一年ほどたって、やむにやまれず私は再度、正確な資料に基いて書き進めたいから、と日記の借用方を音次郎に申入れた。こうしてようやく承諾が得られ、明治四十三年から昭和二十年に至る、実に三十八年間に及ぶ博文館発行のポケット日記が手にはいったのである。日記だけでも、民間航空発達史と言い得る貴重な資料である。ただ文字が細いばかりでなく、音次郎氏独特の文字のくずし方や、赤インクや鉛筆で書き進めながら参照にするのは、いろいろな意味で不便でもあるし、またあとあとのことも考えて、私は先ず全文の筆写を思いたった。しかし昼の勤務のかたわらなので、なかなかはかどらない。見かねて妻と義妹の栄が筆写の仕事を引き受けてくれた。これまでいろいろな原稿を書いてきたけれど、身内に手伝ってもらったのはこれがはじめてである。しかしお蔭でどんなに大助かりであったことか。私は筆写されたノートを中心に、判読し難いところは原文と比較検討して訂正し、どうしてもわからない部分は音次郎氏にただした。一年分の日記が、大学ノート二冊乃至三冊になった。妻と栄はまるまる半年かかって、明治四十三年から昭和二年までの日記を写し終えた。
(平木国夫「空気の階段を登れ」/あとがき)

第83号の平木国夫『楽書帖/ヒコーキ野郎たち』を読んで、平木劇場によく登場する伊藤音次郎、稲垣足穂、円谷英二など、ヒコーキ野郎たちの人間関係がよくわかった。『空気の階段を登れ』、また欲しくなる。


▼ 「人間像」第82号 前半   [RES]
  あらや   ..2020/12/28(月) 14:55  No.794
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本日、第82号の巻頭作品、せんだ・かおす(=千田三四郎)『そして、得られたもの』をライブラリーにアップしました。以降、小説作品は、針山和美『誤算』、金沢欣哉『温泉ノート』、朽木寒三『ハラバ山の伝説』と続きます。

 磯の臭いが、おれをせきたてているのか。からだに、しみついている、この臭いから、逃げだしたい、意識のあがきなのか。いずれにしても、やませ≠フように、突っ走ってしまった行為なのだ。それを正当化しようなんて、考えてもいないし、正義なんて、立場のちがいで、どうにでも理屈づけできる、強者のてまえみそなのだから、『虫けらにだって』と、おれなりの欲求を、ぶっつけたって、結果さえよければ、それなりの言い訳もつこうではないか。なにはともあれ、網を投げこんだからには、予想される障害を押しのけ、うんぷてんぷにまかせて、かかりきるしかない。
(せんだ・かおす「そして、得られたもの」)

『そして、得られたもの』、よかった。イントロから持って行かれて、ラストまで息つかず駈け抜けましたよ。久しぶりの千田ワールドを全身で堪能した。そして次は『誤算』ですからね。たまらない2020年の幕切れです。では、よいお年を。


 
▼ 誤算  
  あらや   ..2020/12/30(水) 18:15  No.795
   「で、スキーの方はどうだろう。正月の二日から三日にかけてニセコへでも?」
「………」
 返事がない。彼女の歓声を心のどこかに期待していた建二は、やはり裏切られたような気持になった。
「でも……」
 とかすかに受話器に音がした。
「どうしたの?」
「実は、伯母の家へ行くことに、一か月も前から決めてあるのよ。ちょうどその日」
 何か緊張のためにふるえているような声だ。
(針山和美「誤算」)

本日、『誤算』をライブラリーにアップしました。単行本未収録じゃないかな、こんな作品読んだことがない…と思いながら作業を進めて来たのだけど、このニセコスキーの場面には何か記憶がある。やはり単行本のどこかには収録されているのだろうか。それとも、持っていない単行本があったりして…
第82号の『誤算』部分に、改稿を指示する原稿が一枚挟まっていましたので、その原稿を活かした『誤算』(改稿版)もつくってみました。

 
▼ ハラバ山の伝説  
  あらや   ..2021/01/06(水) 11:33  No.797
  本日、朽木寒三『ハラバ山の伝説』をライブラリーにアップ。2021年の初仕事となりました。正月は、元日こそ昼間から酒が入ってしまって休んだけれど、二日からは仕事を再開しています。

 ところがそれにつづいて起ったのが、全満洲を恐怖のどん底におとし入れた『ペスト』の大流行である。
 この年――明治四十二年の冬に発生した肺ペストの流行は、北満の、満洲里=ハイラルの奥から始まった。その地方の特産に、『タルバカン』という毛皮動物がいる。陸のカワウソともいうべきもので、土民たちはタルバカンを獲って、毛皮は商人に売り、肉は自分らの食用にする。この肉が媒介して、まず、土民たちがばたばたと死に始めた。
 そこへ、ハルビン方面から商人が入りこんで病菌を持ち帰る。
(朽木寒三「ハラバ山の伝説」)

話の本筋とはあまり関係ない引用ですが、コロナ下の今の記憶として。

 
▼ 「人間像」第82号 後半  
  あらや   ..2021/01/11(月) 17:24  No.798
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本日、「人間像」第82号をアップしました。作業にかかった時間は「85時間/延べ日数18日間」。収録タイトル数は「1501作品」。
約160ページの本なので「85時間」は順当なところでしょうか。作業の途中で歯医者通いが始まり、若い頃からの懸案でもあった奥歯を遂に抜いたりしたので、多少日数がかかっています。

●本号校正中に瀬田栄之助から「小生、本十三日胃ガンの宣告を受け、手術します。いろいろお世話になりました。再起を期します」というハガキが届けられた。一日も早い再起を祈る。「徒労の日記」が痛々しい。
(「人間像」第82号/編集後記)

本当に『徒労の日記』作業は辛かった。いつもならルビや傍点満載の瀬田作品から一切の修飾が消え、箇条書き風の記述が延々と続く今回の日記は異様でした。「胃」という文字を何度打ったことだろう。


▼ 迎春   [RES]
  あらや   ..2021/01/02(土) 16:56  No.796
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今年もよろしくお願いします。

今年は、「人間像」作業も百号が見えて来ている山場だし、もう掲示板での年賀状挨拶はいいのかなとも思っていたのだけど、なにか、大晦日の「東京1337人」のニュースを見て気が変わりました。今日から第82号作業の再開です。



▼ 「人間像」第81号 前半   [RES]
  あらや   ..2020/12/10(木) 09:31  No.791
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本日、第81号巻頭作品、平木国夫『ひとり飛ぶ』をライブラリーにアップしました。以降、佐々木徳次『いちじくの木』、土肥純光『深夜の季節』、内田保夫『勝負は永劫』、瀬田栄之助『問屋場にて』と作業を進めて行く予定です。
第81号は120ページの厚さなので、作業は比較的早く済むような気もするし、今月からは歯の治療が始まったので予想外に手間取るような気もするし、微妙なところ。

 ようやく社内の意見が統一され、空輸の準備がはじまった。ところがである。アメリカ大使館にある海軍武官室に提出しておいた硫黄島とミッドウェイ島の着陸許可申請が却下されたのだ。ベトナム戦争の影響でお気の毒だが絶対に許可出来ない旨、本国から入電しましたのでね、と愛想笑いをしながらも背広姿の海車武官がキッパリと言い切った。
(平木国夫「ひとり飛ぶ」)

そうか、もうベトナム戦争なのか…という感想です。瀬田栄之助さんの四日市ぜんそくとかピカレスクとか、1960年代ぽい雰囲気の中にまだいると思っていたから一瞬虚を衝かれた感じです。1969年、私は17歳。ベトナム戦争ならばもう完全に私の同時代に入って来ていたんですね。


 
▼ 問屋場にて  
  あらや   ..2020/12/18(金) 06:25  No.792
  昨日、瀬田栄之助『問屋場にて』をアップしました。これで、残るは、白鳥昇朗『科学文学論』、上沢祥昭『詩は世につれ』、瀬田栄之助『贋ガン日記』の三本のみ。

それはさておき、せっかく、志摩まできたおまえさんじゃ……そんな間尺に合わぬ仕事はあっさりあきらめて、この先の風光明媚な波切と大王崎にでも行き、海風で頭を冷やして来られるがよい……
(瀬田栄之助「問屋場にて」)

波切(なきり)と大王崎は、「人間像」第77号の『太陽にさからうもの』でも舞台となった地ですね。風光明媚なところなのかな? 作業の合間にちらちらインターネットで波切の海を見ていました。

東京の感染者、新たに822人 2日連続で過去最多
https://news.yahoo.co.jp/articles/bf23ec440fb70428d46a0009279eeee33232ccf3

 
▼ 「人間像」第81号 後半  
  あらや   ..2020/12/21(月) 13:43  No.793
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本日、「人間像」第81号をライブラリーにアップしました。作業にかかった時間は、またも記録更新の「64時間/延べ日数13日間」でした。収録タイトル数は「1490作品」になりました。
冬場でなければ、日数も短縮できるのに…とは思うが、まあそんなことをいちいち言ってもしょうがないか。さあ、雪かきだ。今日の夕方抜歯するのでどきどきしています。その後の経過を見てみないと何とも言えないが、ダメージが少なければためらわず第82号作業に入る予定でいます。
第82号には針山和美『誤算』の名も見えますね。氏には珍しい単行本未収録作品か。

 六月二十二日 土 晴
 赤猫社発行の『自立芸術』中の「アルベルト・ジャコメッティ」(石井守)を病院の待合室で読む。
 医者、はっきりと胃ガンの疑いありという。ガン・センターとの連絡電話の結果を聞いて帰宅。うろたえてはならぬと自戒しつつもうろたえる。家人には何も話さないことにする。
(瀬田栄之助「贋ガン日記」)

2020年暮れの私たちはこの癌が決して〈贋〉ではなかったことを知っていますから、なにかしらこの先物語を読むのがつらい。『問屋場にて』のような美しい作品を書く人に、どうして天はこんな苦しみを与えるのか。


▼ 「人間像」第80号 前半   [RES]
  あらや   ..2020/11/20(金) 16:52  No.787
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本日、第80号巻頭の作品、村上英治『佩刀禁止令異聞』をライブラリーにアップしました。以降、神戸雄三『被害者』、渡部秀正(!)『招待旅行の話』、北野広『逆転』、朽木寒三『ハルピンの雪の夜に』、内田保夫『朱にまじわれ』、佐々木徳治『父の写真』、古宇伸太郎『雨の郭公』とどんどん作業を進めて行く予定です。
第80号記念ということで、いつもにはない企画があれこれ入っていて手間がかかるような気もするし、インクが第79号よりは濃いので130時間もかかるようなことはない気もする。
今、先日(11月11日)発表された国の文化審議会報告書のことを書いています。ちょうど『佩刀禁止令異聞』作業をやっていたので妙にしんみりした気持ちになった。

速報 北海道、新たな感染304人…初の300人超えで、2日連続の最多更新
https://news.yahoo.co.jp/articles/97085e39b623cc58379e1255adae81a6bcce95cc

ラジオニュースが午後二時半の時点でコロナ感染者が三百人を超えたことを報じていました。


 
▼ 招待旅行の話  
  あらや   ..2020/11/22(日) 16:47  No.788
   一行の乗った特急「はつかり」は、既に刈り入れを始めたみちのくの水田地帯にさしかかって居た。その頃、関根達は今夜の宿泊地、松島のパークホテルの平面図を前にして、あわただしい、しかし真剣な打合せを始めて居た。店主が参加する予定の処へ、急にその娘が現われたり、店主と息子の予定が夫婦に変って居る気まぐれの客の為に、昨夜遅くまでかかって作成した部屋割りを、もう一度、やり直さなければならぬ事になりそうだった。
(渡部秀正「招待旅行の話」)

本日、渡部秀正『招待旅行の話』をアップしました。作業は今のところ順調に進んでいます。
2020年の私は、この第80号を最後に渡部さんの作品はもうこれ以降読めないのだと知っていますから、なにか切ない気持ちで作業をしていました。切ないと云えば、特急「はつかり」の名が出て来たことも切なかったなあ。親の仕事が国鉄だったので東京の学生時代は札幌との往復は全て鉄道でした。飛行機に一回も乗ったことがない。いつもこの「はつかり」でしたね。上野から青森駅に着くまでで十時間もかかるんだけど、飛行機料金の十分の一で札幌へ帰れることは貧乏学生には有難かった。この方法以外考えたことはなかったなあ。『招待旅行の話』が見事にこの「はつかり」コースを巡っているので少しばかりセンチになった。

 
▼ 科学文学論  
  あらや   ..2020/11/25(水) 06:53  No.789
   文学が科学的認識でもって解釈できるということは、文学が言語というものから成りたち、言語は文学という記号によって説明されるものでことを認めることになります。さらに、文学というものは記号であると同時に、別な面から眺めれば、それは現象的には紙の上に残された、つまり物理的なものにほかなりませんし、さらに逆の立場から眺めれば、人間相互のコミュニケーションに対する重要な手段であると考えることができます。
(白鳥昇朗「科学文学論〈1〉」)

原稿の字が汚いのか、旭川刑務所の囚人が無学なのか、「文学」と「文字」の字がごちゃごちゃに植えられている。明らかにこの部分は「文学」ではなくて「文字」だろうと手直ししたい欲求に駆られるが、迂闊にそれをやってはいけないと思いとどまる。
『同人通信』にこの誤植についての白鳥氏のコメントでもあれば直せるのだが…と思って、久しぶりに『同通』も見たが言及はない。ということは、紙面にでている通りの文章で今はアップするしかない。

数十年ぶりに吉本隆明『言語にとって美とはなにか』を引っ張り出して読み返しています。「本稿は、一九六一年九月から一九六五年六月にわたって、雑誌『試行』の創刊号から第十四号まで連載した原稿に加筆と訂正をくわえたものである」とありますから、当然、白鳥氏の1968年の『科学文学論』はこの『言語に−』に触発されて書かれたものなのでしょう。当時の吉本隆明の影響力を感じます。今年は夏のNHK教育テレビ「100分で名著」で、これまた数十年ぶりに『共同幻想論』を読み返したりと、ちょっとした吉本イヤーだった。

 
▼ 「人間像」第80号 後半  
  あらや   ..2020/12/03(木) 11:31  No.790
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「人間像」第80号作業完了。本日、ライブラリーにアップしました。作業にかかった時間、最速の「83時間/延べ日数16日間」でした。収録タイトル数は、「1478作品」。濃いインクが本当にありがたい。

 半身を起して男は再び
「おい!」と叫んだ。男の喉声が、男の不安をさらにあふる。母の返事がにぶく伝わってきた。
「いない、やっぱりいない――」 男はとび起きて、兵児帯をまき巻き、階段をおりた。
 二日ほどまえ、足首をくじいた母が、寝床から
「いま、でていったよ」と首をのばした。
「いま?」
「そ、五分もたたないね」 腹ばいになって、雑誌をひろげていた妻の兄も、片手をついて顔をあげた。
「どこへいくって?」
「さ、なんともいわなかったね」
(古宇伸太郎「雨の郭公」)

こういうの、私小説って言うんだろうか。あまり馴染みのない分野なんですけど、変にズーンと響く重さがあったな。ましてや、私たちはすでに福島昭午『妥協』(第39号)を読んだ後の人たちですからね。とても感じ入った。80号記念ということで巻末に「総目次」が10ページ(!)に渡って繰り広げられています。この10ページのひとつひとつを全て読んでここまで来たんだ…と感無量になった。コロナウイルス「第三波」のど真ん中で仕上げたことにも少しばかり自己満足。


▼ 「人間像」第79号 前半   [RES]
  あらや   ..2020/10/26(月) 18:56  No.783
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十月下旬より「人間像」第79号作業に入っています。今日、巻頭の神坂純『ガム伝(1)』をライブラリーにアップしました。
以下、古宇伸太郎『旧街道点景』、内田保夫『ある構図』、針山和美『湖にて』、佐々木徳治『休日の憂鬱』、朽木寒三『薬包紙の冒険』、西川康彦『霧』などの作品を仕上げ次第アップして行く予定です。第79号は約160ページ、インクも薄いので、久しぶりに100時間越えの作業になるのではないでしょうか。

昨日、北海道でコロナウイルス感染者が一日「60人」を記録しました。感染が広がっていた三月〜四月の頃を越える過去最高の感染者数です。地域も札幌を飛び出して各地に広がっています。昨日は帯広市立図書館で感染者が出て同図書館の臨時休館が伝えられたりしました。(きっちりコロナ対応を整えた上での「休館」はダメージ大きいだろうなあ…) グラフの伸びを目にすると、なにか「第三波」のような事態がちらっと頭をよぎったりします。

近況でした。さて、明日から古宇伸太郎『旧街道点景』。


 
▼ 湖にて  
  あらや   ..2020/10/31(土) 09:41  No.784
  本日、針山和美『湖にて』をライブラリーにアップしました。第79号、全167ページ中の70ページまで来ました。薄いインクの靄の中を進行中にしては、まあ順調なのかな… 「79」という数字には少し魔力がありますね。『病床雑記』で始まった怒濤の第七十号代がここに終わるという感慨があります。
『湖にて』をアップするのは三度目です。「京極文芸」第2号の『湖にて』、単行本『奇妙な旅行』所収の『湖にて』、そして今回の「人間像」第79号の初出形『湖にて』となります。三者に主だった変化はなく、ほぼ初出時から完成された作品と言えましょう。『山中にて』のように、あっと驚く変化はありませんでした。久しぶりに『湖にて』を手掛けて、『愛と逃亡』や『支笏湖』もそうだったけれど、針山氏の描く山麓の人生になにか感無量のものを感じています。そして、この針山氏の人生は、朽木氏『馬賊戦記』の人生や平木氏『つばさの人』や瀬田氏『にっぽん・ぴかれすく』の人生と同時並行で展開されていることを今の私たちは知っていますから、その点でも感無量なのですね。

昨日の感染者、「69名」だそうです。コンサドーレ札幌の50名は全員陰性だったそうで、今日のガンバ大阪戦はOKとのこと。

 
▼ 薬包紙の冒険  
  あらや   ..2020/11/08(日) 15:39  No.785
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今朝、朽木寒三『薬包紙の冒険』をアップしました。「薬包紙」、あまり聞き慣れない言葉ですが、昨日がちょうど病院の検診の日だったので薬局で確認してきました。「やくほうし」。粉薬を包む紙ですね。粉薬の分量を量る時などにも使うそうで、今なお薬局などでは現役だそうです。
その『薬包紙』作業をやっていた四日間ほどの間、世の中いろんなことがあったなあ。コンサドーレとかアメリカ大統領選とか連日ラジオを聞いている耳に入って来たけど、いちばん驚いたのは、やはり北海道の「第三波」です。

道内感染 最多の187人 札幌市141人 全道に拡大
道などは7日、道内で新たに187人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。100人を超えるのは3日連続で、5日の119人を大きく上回って過去最多を更新した。このうち札幌市発表分(うち9人は居住地非公表)は141人で、初めて日別の感染発表数が3桁となり、同様に5日の93人を超えて過去最多となった。
(北海道新聞 2020年11月8日 朝刊)

驚いたなあ。『湖にて』の時には「69名」だったのが(これも吃驚したもんだが…)、たった四五日後の『薬包紙の冒険』では「187名」ですもんね。
妄想してしまう。もしこれが「第三波」なのだとしたら、「第二波」と「第三波」の間は時間的な幅が短い。今、北海道と東京(全国)には「第三波」と「第二波」のずれがあって、今東京で起こっていることは「第二波」と考えていたのですが、(東京と地方との往来が無制限に行える現状によっても加速するだろうから)今の東京の「第二波」は連続する形で「第三波」に入って行くのではないか…とか。

第79号作業が終わる一週間後にまた書きます。写真は11月4日の小樽初雪。

 
▼ 「人間像」第79号 後半  
  あらや   ..2020/11/15(日) 10:27  No.786
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本日、「人間像」第79号をライブラリーにアップしました。作業にかかった時間、「133時間/延べ日数24日間」。収録タイトル数、「1459作品」。
一ヶ月近く(24日間)もかかったのが少し不思議です。いつも通り仕事する毎日だったんだけど、何かなあ、初雪があったり、あれこれ冬支度を急がなければなかったりで時間を取られたのだろうか。

「日記」でも書いている通り、瀬田栄之助は目下「関西文学」に「はだしの時代」に全精力を注いでいる。それがため本誌への発表は少し休むという。
(「人間像」第79号/同人消息A)

作業を進めながら、大阪の図書館に行って『はだしの時代』コピーをとって、作品をライブラリーに加えようか…(あそこには本郷新もあるし…)とか、ぼーっと考えたりしていました。そんなところへ「第三波」事態が起こって、妄想の頭をガーンと叩かれたような感じです。

わが国の自動車の生産高がアメリカについで世界第二位になったそうだが、そのおかげで貧乏な同人達もぼつぼつ自家用車を持つようになった。おととしまでは辻井ひとりであったが、去年は福島が入れ、この春は針山が加った。古い軽免許で、四輪は一度もころがしたことはないのに、二、三日他人の車を運転したと思ったら、すっかり自信をつけちゃって、早速スズキ・フロンテ360を買いこんだ。そして五日目には五〇〇キロのオイル交換に行き、車屋の主人にあきれられたという。とにかく事故だけは起こさんでほしい。
(「人間像」第79号/同人消息@)

ふーん、『支笏湖』書いた時には、まだ自家用車じゃなかったんですね。

さて、これから、庭木の冬囲い。雪が降る前に、あれをやって、これをやって…とぶつぶつ。


▼ 「人間像」第78号   [RES]
  あらや   ..2020/10/17(土) 09:32  No.781
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10月12日より第78号作業に入りました。第78号は約100ページなので比較的早く作業は完了するでしょう。神坂純『賑やかな柩』、白鳥昇朗『銃殺』、土肥純光『ゲイの階段』、朽木寒三『蒙古の王様』と進んで来て、今日から神坂純『足尾事件ノート』に入ります。作品は仕上がる毎にライブラリーにアップしています。

道警警部補 速度違反捏造
47件レーザー計測悪用 虚偽切符作成疑い逮捕
パトカーのレーザー式速度計測装置で速度測定記録を捏造して、虚偽の交通反則切符を交付したなどとして、道警は12日、証拠偽造と虚偽有印公文書作成・同行使の疑いで、恵庭市恵み野西6、道警交通機動隊の警部補●●●容疑者(58)を逮捕した。捜査関係者によると、同容疑者は「実績を上げたかった」という趣旨の供述をし、容疑を認めている。2019年8月以降、不正な取り締まりで摘発されたとみられる市民は47人に上り、道警は違反点数を抹消し、反則金の返還を進めている。
(北海道新聞 2020年10月13日)

こいつの「実績」のおかげで、一昨日、私は免許更新の「違反者講習」を寒い講堂で2時間も受けて、雨の中をバスで帰ってきたんだ。身体が冷え切ってしまって昨日は仕事にならなかった。「実績を上げたかった」特高のおかげで、たくさんの罪もない人や家族が命を落としたり、人生を破滅させられたことを忘れるな。


 
▼ 東京雑談会  
  あらや   ..2020/10/21(水) 09:18  No.782
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本日、「人間像」第78号をライブラリーにアップしました。作業にかかった時間、「49時間/延べ日数9日間」。収録タイトル数は「1442作品」になりました。やはり早かったですね。

上沢 渡部君はその頃ずーっと小樽だった?
渡部 ええ小樽だった。私は七年生れだけど学校は神戸さんなんかと同じ訳です。ですから戦後の食べ物がなかった、あのつらい時代しか思い出にないですね。親父は公務員ではあったけど、鉄道の釜焚きですからね。特権と云えば買出しの汽車賃がただだったと云うことだけですね。
朽木 それと神戸君のように、日本の中央部で味わった戦争と、渡部君のように北海道の隅で味わった戦争体験とは大分違うしね。
(東京同人会「戦争と文学」)

おお、渡部さん、お懐かしい… そうか、今は東京同人会なんだもんね。
「人間像」がここのところ面白い企画を始めています。第77号で関西同人会が『わが文学の反省と前進』、この第78号で東京同人会が『戦争と文学』というように座談会記録を「同人通信」じゃなくて「人間像」の方に持って来ています。これは面白い。元気だった時の瀬田栄之助さんや朽木寒三さんの声がびんびんこちらに響いて来ます。
この座談会企画、今の「人間像ライブラリー」の一著者一作品を原則とする検索システムでは上手く載せることができません。〈著者別〉→〈人間像同人会〉で入って、『人間像』第77号、第78号でお読みください。この企画が続くようでしたら、〈関西同人会〉〈東京同人会〉の項目を立てることも考えます。

さて… 他にすることもないので、今日から「人間像」第79号作業に入ります。雪が降る前に稼げるだけ稼いでおきたい。1968年(昭和43年)5月の発行。なんとか高校に入って、札幌に汽車通学してた頃か。


▼ 「人間像」第77号 前半   [RES]
  あらや   ..2020/09/27(日) 16:29  No.778
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「人間像」第77号作業に入りました。今日、巻頭の瀬田栄之助『太陽にさからうもの』(116枚)をアップ。

 それはともかく、既成の文壇人が正真正銘の「悪漢小説《ピカレスク》」と折紙をつけた二者がここにある。中原弓彦著『汚れた土地』(副題として――我がぴかれすく――とあり)と野坂昭如著『エロ事師たち』である。
 (中略)
 本格的なピカレスク的考察といった厳めしい角度をぬきにしてこれらを読破したとき、敗戦後の汚辱と混乱に充ちた日本の社会をきわめてシャープな感覚の下にアラベスク模様に活字した『汚れた土地』を、さすかに中原だと感心したし、ことに『エロ事師たち』については、読者を喜ばすだけの対談屋、雑文家にすぎないとしか評価しえなかった野坂への認識を根本からくつがえし、文字通り一級文学作品として瞠目させるものがあった。
(「人間像」第77号/瀬田栄之助「寒い唇のモノローグ(4)」)

というわけで、運良く道立図書館にあった『汚れた土地』を早速取り寄せて、今読んでいるところです。大変興味深い。私は小林信彦の『夢の砦』や『極東セレナーデ』が大好きで、一時期狂ったようにW.C.フラナガンの果てまで読み漁ったものですけれど、この『汚れた土地』の存在には気がつきませんでしたね。というか、まだ頭がガキで、到底『汚れた土地』が抱えている文学空間の領域には反応もなにもしようがなかったと思います。「人間像」の仕事をやっていて良かった。瀬田栄之助や平木國夫の仕事を知った後で『汚れた土地』に出会えたことは私の幸運だと思いました。ガキのままで死なないで済んだ。


 
▼ 途中経過  
  あらや   ..2020/10/04(日) 09:33  No.779
  十月に入りましたね。

作業は順調に進んで、昨日までに、古宇伸太郎『子烏』、せんだ・かおす『圧殺の日に』、内田保夫『白き地の迷路』をアップしたところです。今、全190ページの内、115ページ関西同人会の座談会『わが文学の反省と前進』を進行中。

今日は、『汚れた土地』の返却期限が迫っているので、残りを一気に読んでしまってから作業に入る予定です。1967年の「人間像」第77号と1965年の『汚れた土地』を、全く地続きで、何の違和感もなく読んでいる自分が面白い。

 
▼ 「人間像」第77号 後半  
  あらや   ..2020/10/11(日) 16:47  No.780
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本日、「人間像」第77号をライブラリーにアップしました。作業にかかった時間は「103時間/延べ日数19日間」。収録タイトル数は「1433作品」に。

しかし昭和二十年四月二十三日に、学生ばかりの特別攻撃が編成された。むかしから飛行機が好きだった私は、大学に入学するといわゆる「学連」(学生航空連盟)に加わって、操縦の練習をし、すでに二等飛行機操縦士で後輩の学生を教えていた。私の遺書を受け取った両親は、そろって十年ぶりに内地に帰り私と最後の別れをしようとした。しかし周囲からとめられて父だけが、母や弟妹と水盃を交わして日本海を渡ってきた。八月六日のことである。そして東京にいた弟を伴って、私の特攻訓練基地にやってきたのは、実に終戦の一日まえであったのだ。母や弟妹の消息がわかったのは一年後で、その半年前、北緯三九度まで南下し逃げのびながら、そのまま釘づけにされ、その地で、寒さと飢えと、加えて発疹チブスとで三人ともが土にかえった。思い出すまいとしても、感慨は深まるばかりである。
(平木圀夫「李ラインを越えて」)

第77号は、針山氏が久しぶりに短歌を発表したことも吃驚だった(まだ書いていたのね!)が、平木氏の『李ラインを越えて』にはもっと驚いた。単なるヒコーキものかと思って作業を始めたら、途中からどんどんこういう深いニュアンスが入って来るのだもの。さらりとドキュメントと銘打っているけれど、いつもの平木氏の小説作品と変わらない大人の人生観を受け取りました。

今、小林信彦『虚栄の市』を読書中。明日から第78号「作業」に入ります。国が最近「デジタル化」を言い出すようになって来て、それはなにか私の考える「デジタル化」とは意味合いが違うように感じます。同類だと見なされるのは心外なので、当面「作業」の言葉を使うことにしました。「デジタル・ライブラリー」の言葉は使うけれど、「デジタル化」は不用意に使わない。


▼ 「人間像」第76号 前半   [RES]
  あらや   ..2020/09/04(金) 12:53  No.774
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八月末より「人間像」第76号作業に入りました。第76号、ついに針山和美『支笏湖』の登場です。パラパラと全体を見渡す準備運動の中で見た印象なのだけど、単行本で読んだ『支笏湖』は「京極文芸」版に近く、この「人間像」版『支笏湖』はそれとは違う、いかにも初出形といった印象を受けました。デジタル化が楽しみです。

今日は、巻頭の瀬田栄之助『雪の日記』をアップしました。Windows10パソコンに移って、「人間像ライブラリー」の表示アプリも「えあ草紙2」に自動的に移行したのだけど、なんか傍点の表示が美しくない。ルビ、傍点の嵐の瀬田作品はちょっと被害甚大?

九月ですか。ストーブ、買い換えました。裏の葡萄棚は、もう一週間くらい…


 
▼ 地震のあった日  
  あらや   ..2020/09/06(日) 15:56  No.775
  一昨年、胆振東部地震が起こった今朝、北野広『ある断層』と神戸雄三『知恵の悲しみ』の二編をアップしました。
神戸雄三氏の名は初めてなんだけれど、「応待」「出征欲」「涯して」…などの独特の漢字遣いになにか記憶がある。誰だったろう…
このライブラリーが始まって以来の原則ですけれど、旭川刑務所の囚人の明らかな誤植(例:『カインの末商』など)以外、本人が自覚して使っている漢字については「応対」「出世欲」「はたして」などとこちらが修正(?)することは一切していません。また、「ベット」「ハンドバック」といった使用についても作者がそう理解している以上、こちらが差し出がましく「ベッド」「ハンドバッグ」などと直すようなことはしません。当時の平均的日本人の理解・知識がそうであったことを正しく示す意味でも守らなければならない原則と考えています。

一昨年の地震〜大停電。今年のコロナウイルス。三年前、もしあのまま図書館現場に残っていたら、この「人間像ライブラリー」は無理だったろうとしみじみ思います。

 
▼ K町  
  あらや   ..2020/09/10(木) 14:04  No.776
  午前中に、針山和美『支笏湖』、上沢祥昭『颱風来る』をアップしました。

 支配人のすすめで千才警察署に捜索願いを出そうと決心したのはK町の自宅に電話が通じないことが分かった直後であったが、そこへ保子と良男君が幾らか緊張した表情で駆け込んで来たのだ。
(針山和美「支笏湖」)

久しぶりに『支笏湖』全文を事細かに読みましたので、長年の疑問にもとうとう決着がつきました。「K町」、つまり「倶知安町」だったんですね。
長らく主人公は札幌の人という頭があって、その札幌の人が支笏湖に車で行くのに、なんで美笛(びふえ)峠を越えて行くんだ…というのが疑問なのでした。まあ、フィクションですから物語をドラマチックにするために背景に美笛峠を持って来たとか、昔はオコタンペ湖側から廻りこむルートがあったのだろうかとかあれこれ考えていたのですが、今回、「K町」の文字を発見して全て氷解。

 Fという部落を過ぎて間もなく、道は峠にさしかかった。せまいことを除けば、想像していたよりも良い道であった。道の両側には麦やスイトコーンの畑が続いていた。この辺の作物も義父の会社で加工されるそうで、盛んに良男さんに話しかけていた。良男さんは大した関心もない様子で、上の空の返事をしていた。小さな峠を二つ越したところで、道が二つに分かれていた。義父は車を止めて道路標識を眺めたり、地図を出して見たりしていたが、初めての道路なので、はっきりしたことは分からない様子であった。
「おじさん、きっと左手の方ですよ。千才鉱山と書いてあるもの」
(同書より)

「F」は「双葉」だったのか… 倶知安から喜茂別を抜けて国道276号を走って行けば支笏湖なのでした。針山和美氏は倶知安の人なのでした。

 
▼ 「人間像」第76号 後半  
  あらや   ..2020/09/18(金) 13:20  No.777
  昨日、「人間像」第76号をライブラリーにアップしました。デジタル化にかかった時間、「106時間/延べ日数18日間」でした。収録タイトル数は「1418作品」に。
明らかに速くなりましたね。この波に乗って第77号に入って行こう。

瀬田栄之助『寒い唇のモノローグ』にて、中原弓彦の『汚れた土地』が取り上げられていて非常に興味を持ちました。でも、『汚れた土地』、インターネット「日本の古書店」で8800円の値段が付いていますよ。ほぼ諦めかけていたのですが、なんと!、幸運なことに道立図書館で所蔵していました。やったね。今朝さっそく小樽図書館にリクエストを出して来たところです。中原弓彦は小林信彦のもう一つのペンネーム。1967年は、昭和で言うと42年。私で言うと小学六年生か…


▼ 「人間像」第75号 前半   [RES]
  あらや   ..2020/07/24(金) 10:03  No.769
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7月18日より「人間像」第75号作業に入りました。今朝、日高良子『応永無常』をライブラリーにアップしたところです。原稿用紙114枚のアップに4日間ほどかかりました。第75号は222ページの大冊ですので、今回も約一ヵ月ほどの作業時間となると思われます。今度気がついたら、もう九月。短い北海道の夏も終わり、テレビにはスタッドレス・タイヤやストーブのコマーシャルが登場する季節ですかね。
加えて、今回の作業にはWindows10への移行が重なっています。使い慣れたWindows7ですが、ギブアップすることになりました。メールの送受信が駄目になった五月以来、あれこれ他の場面でも不具合が起こり始めています。パソコン自体も七、八年の時間が経っていますので老朽化も心配ですし。「人間像」作業がまだ第75号段階であることを思うと、私が一応作業のゴールと考えている「第170号(渡部秀正追悼号)」まではまだまだ距離がある。今の機械で「第170号」まで突っ走れるわけもなく、どこかでチューンナップは必至とは思っていたのでした。メール事件はいい契機だったのかもしれません。当面、「第75号」を題材として新しいパソコンに作業環境を整えて行くつもりです。

『応永無常』は凄かった! これだけ凄い作品になると、あれこれ物凄さの説明をするのも屋上屋で面倒くさい。今すぐ読みなさい。


 
▼ 広島原爆の日  
  あらや   ..2020/08/06(木) 06:06  No.770
  Windows10機種に換えて一週間。メールは復旧しました。アドレスは変更ありません。ご迷惑をおかけしました。

現在、いつもの『人間像』第75号ワープロ原稿化の作業と平行して、新しいパソコンよりその第75号を「人間像ライブラリー」に作品をアップするために必要な機材・ソフトを構成中です。この作業にもたもた時間をかけたくはないのだが、実際はもたもたしています。今のパソコン世界って、100文字以上の文章を見ると頭が割れるように痛い…といった人たちでも快適にすごせる環境って面もありますからね。5年前なら当然あったソフトがもう製造中止になっていたりして少し混乱しています。
せんだ・かおす(=千田三四郎)『幻影のように』も七月中に仕上がっているのですが、データをライブラリーに送るソフトが今ひとつ不具合で送れず、今日の広島原爆の日になってしまいました。

それとは別に、今、作業部屋の本や資料を整理しています。「人間像ライブラリー」の収録作品も1300タイトルを越えました。当然、それに伴って原資料や関連資料やコピー資料類も部屋に溢れて来ています。
で、整理することにしました。新しいパソコンにファイルを移す時、これはまだ使う、これはもう使わない…と腑分けしたように、もう使うことはないだろうと思った本は処分することにしました。そうして書架にスペースをつくらないと、増えて行く新資料に対応できない。処分する本は読書会BBSの方で順次紹介して行こうと思います。

では、新しいパソコンから司書室BBSへの書き込みです。

 
▼ 「人間像」第75号 後半  
  あらや   ..2020/08/16(日) 17:28  No.771
  近況です。「人間像」第75号作業は、全222ページの内の120ページ、上沢祥昭『詩(うた)は世につれ』まで来たところです。後半の作業に入りました。
前回、新パソコンに「人間像ライブラリー」に作品をアップするために必要な機材・ソフトを構成中と前回書きましたが、今、その最後の仕事、仕上げたデジタル作品をプロバイダに送るFTPソフトの設定に戸惑っていて、まだ送れない状態が続いています。
前に使っていたパソコンにはまだそのFTPが残っていますから、送ろうと思えば今でも送れないことはないのですが、それをやってしまうと、なにか新パソコンでこれからやって行こうとしている気持ちが挫けるような気がする。「人間像ライブラリー」を死ぬまでに貫徹するんだという気力が挫けるような気がするのです。今少し足掻いてみようと思ってます。

パソコン新調には「特別定額給付金」の10万円を使いました。コロナウイルスのおかげですかね。その新パソコン、作業にとりかかっていると突然「入力時間が長くなっています。少し休憩しませんか」なんて吹き出しが出てくる。思わず「うるせい!」と苦笑しましたよ。こんなことを今の人は〈進歩〉と思ってんのかな? なにかクラウド上から監視されているみたいで頗る気分が悪い。

第75号に取り組んでいる間に、同人雑誌『人間像』第190号と『コブタン』No.47が発行されました。どちらも「止めないぞ!」という意志が静かに溢れていて、とても感動した。ものを書くとはこういうことだ。読むとはこういうことだ。

 
▼ FTPソフト  
  あらや   ..2020/08/20(木) 15:00  No.772
  本日、ソフテックのおかげでFTPソフト開通しました。これで、「人間像」作業の全行程が新パソコンで行われるようになり、五月の連休以来のドタバタがようやく終焉したところです。

早速、せんだ・かおす『幻影のように』、神坂純『疵のある夜話』、瀬田栄之助『八月の群衆』、佐藤テル子『ノイローゼ旅行』など8編の作品をアップしました。
明後日にも、内田保夫『カウンセラー』、土肥純光『宝石と孤独』、北あきら『少女とデモ』などをアップする予定です。

今日はさすがに脱力で、なにかこれ以上頑張る元気がない。ラジオは小樽市立病院でクラスターが発生したことを報じています。

 
▼ 惜春賦  
  あらや   ..2020/08/27(木) 08:28  No.773
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昨日、「人間像」第75号をライブラリーにアップしました。デジタル化にかかった時間は「142時間/延べ日数30日間」。収録タイトル数は「1404作品」になります。

この第75号作業には、同時にWindows10パソコンへの移行がかかっていましたから、あまり作業能率の参考にはならないかもしれません。ただ、前回の「人間像」第74号(同じ200ページ超)が「170時間/延べ日数31日間」であることを考えると、Windows10移行によってある種の技術革新が起こっているのではないかと思えるところがあります。
例えば、OCRソフト。私は「読取革命」という市販ソフトでやっているのですが、これも十年ぶりで最新バージョンに取り替えましたら、その読み取り度がかなりハンパないわけですね。スピードも凄いし… じつは「142時間」には、旧バージョンで読み取っていた原稿をもう一度新バージョンでやり直した時間も含まれているのですが、それでも前回よりは30時間近い短縮になったのは結構な驚きでした。
OCRだけではなく、いろいろな作業ソフトでそういう効果が現れて来ています。次回の第76号作業でもっとその技術革新の姿が見えてくるでしょう。

平木圀夫『惜春賦』は凄かった… トップの日高良子『応永無常』も凄かったが、トリの『惜春賦』はもっと凄かった。『人間像』、凄いことになっていますね。毎号、毎号、こういう超ヘビーな試合が北の倶知安の地で繰り広げられています。朽木氏が『馬賊戦記』作家として旅立って行った今、平木氏、これで「ヒコーキ」作家へ飛び立つ決心を固めたのではないでしょうか。だからこその〈惜春〉なのだと私は了解しました。凄い場面に立ち会ってしまった…という感想です。



 


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