| TOP | HOME | ページ一覧 |


No.1080 への▼返信フォームです。


▼ 「人間像」第122号 前半   引用
  あらや   ..2024/04/15(月) 11:12  No.1080
  .jpg / 35.1KB

「人間像」第122号の表紙絵、また丸本明子さんに戻ってしまいましたね。今度は藤茂勇さんが扉絵。第122号は各小説作品にも藤茂さんのカットが入る豪華版です。
今号のラインナップは、佐々木徳次『窓のない部屋』、丸本明子『耳鳴り』、神坂純『葬いの譜』、内田保夫『市川八幡有情』、針山和美『春の狂い』の五作品。今、『窓のない部屋』を人間像ライブラリーにアップしたところです。

じつは、この次の号、第123号は「人間像」創刊四十周年記念号なのです。ほぼ同人が勢揃い、ページ数も久しぶりの246ページという大作です。早くそれに着手したいので、少しずつ作業ペースを上げているのです。「人間像ライブラリー」も40年間を7年で駈け抜けて来たわけか… 時代もついに「平成」に入って来ました。


 
▼ 葬いの譜   引用
  あらや   ..2024/04/17(水) 17:32  No.1081
  とむらいのふ、と読むのだろうか… あまり自信がない。詩人の言葉づかいは独特で苦労します。『私の山頭火』で部分的に語られていた上澤祥昭氏の当時の変転の全貌が、この『葬いの譜』で一気に明らかにされました。なんとも切ない気持で読んだ。こんな状態になっても、なお「人間像」の仲間たちと切れなかったことに救いを感じた。

 自分が家にいられる訳がない。そう思い込んだ私は、誰にも相談しないで家を出ることにした。二、三日は、私の近況を全く知らない旧い学友の家を渡り歩いたが、それをするにも金がかかった。そして遂には、かつて通勤電車の窓から何気なく見過していた、都心の繁華街に隣接する、一泊二百円と屋根に大書された、軒の低い木賃宿にころがり込んだ。自分が必要とする会話が全くない、蚕棚での生活は、一刻の心を休めはしてくれたが、すえた汗の匂いと、何処からともなく漂ってくる糞尿の刺激臭で、自分のみじめさがたまらなかった。
(神坂純「葬いの譜」)

平成の世になっても〈木賃宿〉の言葉は残ってたのですね。

 
▼ 娘へ/私の山頭火   引用
  あらや   ..2024/04/22(月) 14:36  No.1082
   あまりにも突然な友の訃報だった。三日前に偶然彼の家に寄った知人から、脳溢血で倒れていた彼を、とにかく病院に運んで帰国した、という連絡をうけたばかりだったから、彼の退院迄に一度島へ渡って、取り残された二人の子供の様子をみて来てやろう、と思っていた位なのだ。
(神坂純「私の山頭火〈八〉」)

驚いた。巻頭の詩『娘へ』、そして『葬いの譜』、『私の山頭火』はひとつの繋がった物語だったんですね。これで、第122号は、忘れられない号となりました。

 
▼ 「人間像」第122号 後半   引用
  あらや   ..2024/04/22(月) 14:40  No.1083
  .jpg / 23.2KB

 針山君は、いわゆる私小説ではなく他人のことばかり書く。そして色々な人それぞれの立場や心情を実によく書き分ける。殊に、たがいに対立する何人かの人々がそれぞれ自己主張をするような場面に、それがいかんなく発揮される。私は針山君の作品を読むといつも、「ひとごと」とは思えず身につまされてしまう。彼としては失敗作に属する物でもそうなのだ。
(裏表紙/「百姓二代」解説文)

朽木氏の言葉が身に沁みる。こんなに的確に、しかも愛情を持って針山和美の小説を語れる人、他に知らない。『春の狂い』、ストーリーだけ追えば、そんな馬鹿な!なのだが、針山氏が書くと、きちんと目の前に『春の狂い』の光景が出現する。

「人間像」第122号、先ほど完了しました。110ページの作業時間は「46時間/延べ日数8日間」。収録タイトル数は「2305作品」になりました。もしかしたら最速記録、更新?



Name 
Mail   URL 
Font
Title  
File  
Cookie  Preview      DelKey