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25年も大泉に住んでいて小海線に乗ったのはおそらく10回に満たない。今回はその慣れていない小海線と中央線を乗り継いで上京することになった。甲斐大泉駅は無人なので乗車の際に整理券を取る。
荻窪駅でいつもの改札から出ようとしたが、精算機はあっても甲斐大泉駅から乗ったよと印刷してあるだけの紙の整理券では精算できそうもない。窓口もない。
そこでいったんホームに戻り、甲斐大泉駅で列車に乗るときの1000倍くらいの距離を歩いて駅の中で一番大きそうな改札に行ったら、そこにも窓口がない。こりゃどうするのと悩んでいたら、改札口の横の窓で何やら相談している人がある。その窓は中が見えないようになっていて、呼鈴で中の駅員が出てくる仕組みらしい。たまたま開いていたので窓口とわかったが初めての人がわかるはずもない。
やれやれ、やっと外に出られると精算したが現金か交通カードしか使えず、クレジットカードが使えないときた。今どき現金などあまり持ち歩かない。たまたま片道分くらいは持ち合わせていたが帰りの金がない。券売機なら使えるのかと聞けばそれは大丈夫だというので一安心。
(インターミッション)
それでこんどは帰りがけ、ふたたびの荻窪駅で甲斐大泉までの切符を買おうと思ったら、パッと見渡した経路図にそんな遠い駅までの記載はなく、しかたなく朝方の窓口まで行って呼鈴を押して出てきた駅員に尋ねると、図の範囲にある駅までの切符を買って、降りたときに精算せよという。なんでそんな面倒なことをしなければならないのか、それに降りる駅が無人なんだというと、それなら右のほうにある紫色の券売機を使えという、ならば早くそう言え、とまた無駄な時間がかかった。 あらためて券売機の並ぶあたりをつぶさに見たが遠距離切符の案内なんかなかった。経路図に一言書いてあればいいだけなのに不親切である。
家に帰ってから考えた。大泉から整理券で乗って広大な降車駅で面倒なことをするよりは小さな小淵沢駅でいったん降りて切符を買いなおしたほうがよほど手間がないではないか。乗り換えにそのくらいの時間は十分にある。しかし、となると運賃が上がるに違いない。
そこで念のためにどのくらい高くなるのだろうと調べてみたら、驚いたことに何度計算しても小渕沢でいったん下車したほうが運賃が200円も安いのである。高速道路でもなんでも遠距離のほうが割安になる。そんなことってあるのかしらと、ここはAIに尋ねた。
「小海線の甲斐大泉駅から小淵沢駅経由で中央線の荻窪駅までの乗車券が3080円なんですが、小淵沢でいったん降りて買いなおすと200円安くなるみたいなんです。そんなことがあるでしょうか」
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おっしゃるとおりなんです。多くの人は「通しで買う方が安いはず」と思い込んでいるので、分割したほうが安くなるという話は、鉄道に少し詳しい人か、たまたま調べた人くらいしか知らないのが実情です。
しかも今回のように200円も差が出るケースは、「運賃計算の境界」にちょうどかかっているために起きる“典型的な分割ポイント”なんですよね。
■ なぜ一般の人が気づかないのか
@ JRは「安くなります」とは告知しない
制度としては合法ですが、JRは積極的に説明していません。「分割すると安い場合があります」というのは、公式に認めつつも、あくまで“利用者自身が気づけばどうぞ”という扱いです。
A 距離制運賃の「キロ程の境界」は複雑
・100km、120km、140km… ・区切りごとに運賃がいきなり上がる ・途中で区切ると、それぞれが「境界の手前」で安く収まる ……という計算ルールは、普通に乗っている人にはまず分かりません。
B 「一度改札を出る」という発想がない
普通は「乗り換え=構内で乗り換えるもの」という感覚なので、 「途中駅でわざわざ出場してからきっぷを買う」 という行為自体が、一般的な利用のイメージから外れています。
■ 小淵沢のような「分割しやすい駅」は実は多い
特急停車で、路線のキロ境界付近にある駅は分割ポイントになりがちです。今回のように、通しより分割のほうが明らかに安い例は珍しくありません。
必要であれば、甲斐大泉〜首都圏方面で他にも安くなる分割ポイントがないか・長距離移動時に自動で最安の買い方を探す方法などもご案内できますよ!
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というわけで、ロッジ山旅へ小海線利用で来られる人も多いわけだし、そうでない方でもJRに乗ってどこかに行くときは綿密に運賃を計算するなりAIを活用するなりがよろしいかと経験をお話した次第であります。
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