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お茶の水駅から明大通りに出てすぐ右手に茗溪堂という書店があった。一般の書店としてだけではなく、山岳書の出版もしていた。今でもビルの名前として残っているかもしれないが、もう中身はエレキギターの店である。
かつて、私の上京時のルートは、お茶の水駅で降りて茗溪堂とオーディオユニオンに立ち寄り、駿河台下で悠久堂をひやかしたのち、さかいやをのぞいたりして水道橋駅まで歩くというのが常だった。
ひょんなことからその茗溪堂の2代目社長の坂本さんと知り合いになって、私の宿へも何度か泊まってもらった。
先ごろ、その坂本さんから久しぶりに電話があって、足立源一郎のスケッチが何枚かあるのでもらってくれないかというのである。以前、商品として扱っていたのがまだ倉庫にあったのだという。
茗溪堂からは『日本の山旅』という足立さんのスケッチ集が1970年に出版されている。そんなところからも縁があったのかもしれない。
もらってくれもなにも、断る理由なんてない。「そりゃあもう・・・」なんて応えたら、さっそく足立さんの絵が13幅も大挙してやってきた。
この世は奇縁に満ちていて、これらの絵がここにやってくることになったのもそのひとつだが、もうひとつを挙げておくと、私に山歩きを再開させるきっかけになった本『車窓の山旅・中央線から見える山』の著者山村正光さんの父親は絵を描く人で、春陽会の第二回の展覧会(大正末)に入選、その出展目録には名前が足立さんの名前の横に並んで載っていたという。
これは1998年に河口湖美術館で開催された足立源一郎回顧展の図録にあった山村さんの文章で知った。当時、この美術館の館長は足立さんのご子息朗氏であった。
さて、これらの絵をどうやって飾るか、絵心が貧弱な私は、ロッジ山旅ギャラリー出展の画家の皆さんに相談してみるしかない。
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