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9月の始まりの日が最初の放送となります。今回は山の写真について私見を語りましたが、ちょっと小難しい話かもしれません。
音楽は前回に引き続きアバを取り上げました。前回はその楽曲が実にミュージカル的ですばらしいという話をして、しかし、その音楽で造られたミュージカル映画『マンマ・ミーア』は途中で観るのをやめてしまったとも言いました。
しょっぱなからあまりにドタバタ劇だったので、これがずっと続くとなると大変だと思って観るのをやめたわけでしたが、今一度、今度は最後までちゃんと観てみようと思ったんです。というのも、この映画には10年後に『マンマ・ミーア・ヒア・ウイ・ゴー』という続編があって、アバの音楽を使ったミュージカルならやはり興味があって、続編を観るのに正編を観ていなければまずいだろうと思ったからでした。
まあ、もうちょっと何とかならんかとは思いつつも、なんとか見終えて続編を観る下地ができたというわけです。
それでもって観た続編は、なにせ正編が今ひとつだったんで、また似たようなものかなと、たいして期待はしていなかったんです。ところがこれが傑作で大変感激しました。
映画の冒頭、大学生時代から僕の好きな曲「ホエン・アイ・キッスド・ザ・ティーチャー」で一気にミュージカル的な展開となって、前作から想像された心配は消し飛んで、もうわくわくしちゃいましたね。映画は最初で観客の心をつかまなければいけません。
おそらく映画の元になった舞台ミュージカルの『マンマ・ミーア』のファンが映画を観たとき、多くの人が失望したんじゃないかと思うんですね。というのも舞台では一流のダンサーが演じていたはずだからなんです。映画はどうしてもスターシステムですから、スター俳優を連れてきて、しかし彼らが歌もダンスもこなせるということはなくて、歌はアバの曲に助けられるから何とかなっているものの、ダンスは素人同然なことは僕にだってわかります。しかも映画が舞台より有利なのは舞台では出せない広大なスケール感と視点の変化とカット割りなんですが、これも見るべきものはほとんどありませんでした。
主役級が踊れないからでしょうか、とにかくダンス場面が少ない。映画ならではのスケールを出すべき群舞も少なく、ことにアバの代表曲の「ダンシング・クイーン」が流れる場面はひとつのクライマックスのはずなんですが、群舞ではあってもロケ地で集めたエキストラのような人たちが素人の踊りをしているようでは話になりません。そのあたり続編では同じく「ダンシング・クイーン」が流れる場面は実に見事な映像になっていました。
ミュージカルが苦手な人は、話の途中で突如歌ったり踊ったりする不条理に納得がいかないからですが、実はその不条理こそが魅力です。ですが音楽やダンスがよくなければただのドタバタになってしまいます。
続編のほうでは、正編の反省があったからか、そのあたりがきちんとなっていましたね。音楽はアバなんですから万全として、さっき言ったように群舞の場面でもダンサーがちゃんと動員されていました。ともかくこれからこの映画を観ようという人は、正編を観ないと話の筋がわからないから、少々ガマンして観て、続編に備えてください。
というようなことで、今回もまたアバの曲を流したというわけです。映画にちなんでサウンドトラックを採用しました。
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