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台風一過の晴天でもなさそうだし、手を挙げる人もなさそうだし、今週も中止かなと思っていたら、前日の午後になって裏のご隠居さんから電話があった。
4月の初め以来だからずいぶんとご無沙汰だったのだが、その間、体調を崩していたのは知っていた。聞けば快復してゴルフに飲み会にと東奔西走だという。
それは何より、では行こうじゃないですか、曇りの天気なら展望がなくても楽しめる小森川右岸稜線に出かけることにした。4月の末に新緑を楽しんだばかりだが、濃くなった緑の山もまた一興だ。
とはいえ、まったく同じ行程でも面白くないので、これまでの行程を半分にするようなエスケープルートを試してみることにした。すなわち途中から比志城址へ派生する稜線を下る。10年以上前には歩いたはずだが記憶はもう薄い。
尾根歩きの途中で、やけに行く手が明るいと思ったら、たったひと月前の光景が変わって、すっかり山肌が裸にされていた。あらたな展望地の誕生である。
ひと月でこの変化なら、10数年ぶりの比志城址が変わっていないはずはなく、木造の社と、それを覆っていた大きなあずまやは解体されており、かわりにちょこんと新しい石祠があった。
ゆっくりとした出発だったにもかかわらず、目的とした比志城址へは11時半にもなっていなかった。時間はかからずとも、こういった人跡稀な山には別の手ごたえがある。そして、こんな栄枯盛衰がおのずと感じられる頂上で四方山話に興じるのも、我々のような年齢になった者にこそ楽しめる楽しみのひとつに違いない。
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