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事情で少々遅い出発となった。さてどうしようかと考え、前々から気になっていた場所に行ってみることにした。
散々登った三峰山から南を見下ろしたとき、あそこはどんなところだろうと気になっていた原っぱがあったのである。ヤブ漕ぎさえなければ1時間もあればたどり着けるはずである。
せいぜい膝下くらいの笹を分けて急に下ると明確な踏跡が現れた。人通りよりは鹿通りがほとんどだろう。いたるところに鹿の寝床がある。
なかなかの深山の雰囲気と、初めて歩く場所だったこともあって、時間がかかったように思ったが、歩きだして目的地まで1時間あまりだった。
小さなピークを越えると、想像していたより広大な原っぱが拡がっていた。これは気持ちがいい。あいにく遠望のない日だったが、三峰山と二ツ山をつなぐ稜線の向こうには槍穂の峰々、諏訪湖の向こうには中央アルプスが並ぶに違いない。
三峰山付近はそもそも展望がいいのだから、ここに来て初めての大展望が得られるといった楽しみはないけれども、ここに至る稜線の雰囲気がすばらしいし、北に見上げる三峰山は実に立派で、それだけでも行く価値がある。
風が強い日で、のんびりと長時間を過ごすというわけにはいかなかった。この風の強さがここに林を造らせなかった理由かもしれない。高い山々が雪化粧した快晴の晩秋や新緑の1日に訪れたら最高だろう。また、ちょっと下ればすてきな木陰をつくってくれそうな木が何本もあるから、真夏の避暑も楽しめそうだ。
砥沢の源頭部にあたるので、砥沢ヶ原とでも名付けておくことにしよう。
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