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読書日記―7 >>
クマジィ 2024/03/21(木) 03:49
.gif / 2.3KB 外は寒そうな北風が吹いている。
この寒さも今週一週間で終わりを告げるのかと思うとちょっと寂しいような、それでいて樹木や草花の花が一斉に咲き始める嬉しさと重なり、複雑な気分になる時期でもある。
今週末、やっと都心のソメイヨシノも開花を迎えそうだ。

●幸田 文著:「木」 新潮文庫

【樹木を愛でるは心の養い、何よりの財産。父露伴のそんな思いから著者は樹木を感じる大人へと成長した。その木の来し方、行く末に思いを馳せる著者の透徹した眼は、木々の存在の向こうに、人間の業や生死の淵源まで見通す。倒木に着床発芽するえぞ松の倒木更新、娘に買ってやらなかった鉢植えの藤、様相を一変させる縄文杉の風格……。北は北海道、南は屋久島まで、生命の手触りを写す名随筆。―本の紹介より―】

映画PERFECT DAYSがきっかけとなり、恵比寿有隣堂で手に取ったのだが、私の40年余りの造園家としての人生にも関わっていたので、興味深く映画を観させて貰った。
主人公はいつもインスタントカメラを持ち歩き、公園で昼食のサンドイッチを食べながらケヤキの樹木越しに降り注ぐ木漏れ日をカメラに収め、就寝前には幸田文の「木」というタイトルの文庫本などを読んでから眠りにつくという日常を繰り返す。

著書は一本の木について四季(1年)を通して観察しないと本当の木を理解することが出来ないとして現地を訪れ木の専門家に教えを乞い、長文のエッセイとして紡いでいることが凄い。私は生業として来たのにこういう見方をしたことが無かったので、恥じ入るばかりである。
監督は何故この本を選んだのか、ただの小道具として使ったとは思えず、その理由を知りたいと思ったが・・・ただの日常を切り取っただけだが、本の内容と同じように、爽やかで心に残る、いい映画をみせて貰った。【20240321(木)】



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