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針山さんの小説がない「人間像」第138号作業が始まりました。第138号の作品群は、日高良子『残照の果てるまで』、葛西庸三『模索の中で』、佐々木徳次『ラストの歌へ』、北野広『羽搏き』、丸本明子『土龍』、内田保夫『本棚』と続きます。
「あき子、避病院にいる看護婦さんを知っているか?」 と問われた。 「ううん、知らない」 あき子は首を横に振った。 「大島医院の看護婦さんだけど、避病院の一室を借りて通勤しているんだ。とても頭の良い人でね。何でもよく知ってるよ。あき子もあの人と友達になるといい」 桂一は思いなしか頬を紅潮させているように見えた。 「へえー、そうなの。お兄ちゃん、どうしてその人を知ってるの?」 「うん。青年団の連中が時々遊びに行っては、いろいろ話をするんだよ」 「何歳くらいの人なの?」 「そうだな、二十七か八くらいかな」 「ふうん。でも、そんな年上の女の人と友達になったって……」 (たいして面白くもないじゃあないの) あき子はあまり気乗りがしなかった。 「妹がいる……と話をしたら、瑞枝さん……その人、新谷瑞枝というんだ。是非会いたい、お友達になって欲しいって言ったんだ」 (日高良子「残照の果てるまで」)
本日、『残照の果てるまで』を人間像ライブラリーにアップしました。作品に「新谷」さんが登場したの、針山和美『三年間』に続いて、これで二度目。
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