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No.1266 への▼返信フォームです。


▼ 「人間像」第145号 前半   引用
  あらや   ..2026/01/29(木) 17:56  No.1266
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第145号作業、スタートです。と書いたはいいが、1月24日〜26日にかけて、鉄道、バス、高速、飛行場が止まってしまうほどの久しぶりの大雪で、今でも後遺症にあたふたしています。腰が痛い。
第145号は細川明人『精神病棟(第一部)』、丸本明子『鳶』、北野広『二つの花』、井口昭子『トルコ行進曲』、三浦麗子『夏の日に』、内田保夫『墨染めに舞う(最終回)』、針山和美『半病雑記』と続き、他に土肥純光さんの遺稿『白樺荘の女』『マリンタワーのある街で』の二篇が加わります。

 
▼ トルコ行進曲   引用
  あらや   ..2026/02/01(日) 06:16  No.1267
   ラジオのむこうで、対談の相手はいった。「この曲は、トルコ大使館で演奏して、好評だったんです。
『トルコ行進曲』って、トルコでは演奏されないんですよ。あの曲はヨーロッパの音楽ですからね。ぼく達、古楽器を使って、古い時代のように演奏しますでしょ。中国人も二人、参加してますから、勿論、日本の曲だけでなく、いろいろ編曲して演奏しています」
(井内昭子「トルコ行進曲」)

新同人の登場です。男ばっかりだった145号合評会も楽しそう。

 新入会もいるので、先ずは自己紹介し合う。井内は目次が井口となっていたので力をこめて、「イウチです」と言った。井口となっているのは目次だけで作品と住所録は井内となっていたのでなかなか気が付かない。針山も校正のとき見落としたらしい。私は目次なんかロクに見ないものだから始めからイウチさんと思っていた。なるほど軽やかにステップを踏みそうな小柄ながら運動神経のありそうな人という印象だ。
(「同人通信」No.233/道内同人会・145号合評会)

新同人とはいっても、井内さんも、この後の三浦麗子さんも、前号の堺比呂志さんも、皆、別の同人誌で長年書いてきた人たちなので、ただの新人とはちがいます。

 
▼ 夏の陽に   引用
  あらや   ..2026/02/02(月) 09:51  No.1268
   海岸線に沿ってバスが走る。左手には灌木の生い茂る丘陵が続き、右手には海が迫っている。
 今日は天気が良い。まだ午前八時を回ったばかりだというのに、もう眩しい程の太陽が濡れた岩肌に照りつけている。高いうねりが岩にぶつかって激しく砕け散り、水しぶきが高く上がる。
(三浦麗子「夏の陽に」)

このバスが走っているのは浜益への海岸線。浜益といえば、

三浦は、ふくよかで(太ってるという意味ではない)目の大きな優しい声音でものをいう人だ。針田のいた浜益の診療所に務めていたことがあるので、みんなから質問を受けていた。三浦は針田以前の勤務なので、針田と重なっていない。名前も噂も知らない風だった。しかしまぎれもなく作品の舞台は針田の務めていた浜益診療所と重なる。偶然ながらも何か因縁めいてくる。
(「同人通信」No.233/道内同人会・145号合評会)

三浦さんも浜益の風景を褒めていますね。針田さんの作品、追悼号以来、久しく読んでいないな…

 
▼ 墨染に舞う (五)   引用
  あらや   ..2026/02/06(金) 06:34  No.1269
   今日も晴れている。
 内山の京都旅行は十七年目になる。年一回で二泊三日か三泊四日の旅である。そのあいだに西国三十三ヶ所観音霊場札所を三年かかって巡った。その時は勤めていたので二泊三日で年二回訪れている。雨にあったのは最初の年に清水寺での夕立。地蔵盆を見て回っている時に途中で降られたのと、西国札所二十九番の松尾寺の帰り道に降られた、という経験しかない。
(内田保夫「墨染に舞う(五)」)

京都の尼寺を巡る物語も今回がラストです。長かったなあ…とは思わない。道民にはあまり縁が無い京都の文物を楽しませてもらいました。京都の人に直接ガイドしてもらうのではなく、視点が、関東人が巡りたい京都を解説してもらう形になっているので道民には大変親切な構成でした。平家物語もずいぶん勉強になったし。
この『墨染に舞う』をやっている期間、巷では衆議院選挙の期間でもあったのだけど、小樽は、選挙カーの連呼も全然聞こえないし(吹雪ですからね…)、目障りな掲示板も皆無だし(雪が積もってます…)、テレビもミラノ・コルティナ五輪があるから選挙報道ばかりやっているわけにもいかないし…で、すごく静かな毎日でよかったです。

 
▼ マリンタワーのある街で   引用
  あらや   ..2026/02/09(月) 11:24  No.1270
   若い日の一時期を過ごした、あのアパートはどうなっているのか、一度訪ねて見てみたいというのは、折りに触れて中本が考えていたことだった。不意にそれを思い立ったのは、横浜に出張で来て、時間に若干のゆとりを見出したことからだった。
 あれから、既に二十数年が過ぎていた。それを裏付けるように、中本の髪にはかなり白髪が混じりはじめていた。あのアパートは、もう残ってはいないかも知れないと、そんな思いというのはあった。それとも、すっかり生まれ変わって、はやりのマンションに建て替えられているのだろうか。
(土肥純光「マリンタワーのある街で」)

土肥さんは、ある意味、自分の死期を悟っていたのだろうか。遺稿となった作品にこんな箇所を見つけると胸がきゅっと締めつけられる。

H 時間だし、土肥のは省略しよう。これは後から見つかって奥さんから送られてきたものでね。
K 完成させているんだね。
M 白樺荘の女はいい作品だった。
S うん、素晴らしい。
K この人、あと十年早ければ出られるね。
C どうして発表しなかったのか。
M 今までの中の最高だ。
(「同人通信」No.233/道内同人会・145号合評会)

 
▼ 半病雑記(4)   引用
  あらや   ..2026/02/13(金) 10:04  No.1271
   「それから『愛と逃亡』も面白かったけれど、死姦する場面は無い方が良かったと思いましたね。心から彼女を愛し続けた純情な青年というイメージが、あの場面でちょっと変わった印象になってしまい、それが惜しいと思いました」
(針山和美「半病雑記(4)」)

そうかなあ。主人公を「純情な青年」と読みとる時点で間違っている気がする。主人公が有している毒の部分、ひどく魯鈍な領域に気がつかないなんて、やっぱりありきたりな社会科教師だと思いました。過去に、「これは授業で使える、使えない」で本や世の中の物事を判断する学校教師を何人も見てきたけれど、なにか、あの人たちを思い出す。

 
▼ 「人間像」第145号 後半   引用
  あらや   ..2026/02/13(金) 10:08  No.1272
  「人間像」第145号(182ページ)作業、終了しました。作業時間は「64時間/延べ日数16日間」。収録タイトル数は「2850作品」になりました。

『半病雑記』の連載が終了しましたので単行本『わが幼少記』の復刻に入ろうかとも思ったのですが、次号「人間像」第146号には針山さんの最後の小説『白の点景』が載っていますので、先に第146号作業を行い、その後、『わが幼少記』『白の点景』二冊の復刻に入ろうと考えています。
単行本もこの二冊が終わってしまえば、あと残るは『ボボロン雑記』(晃文社,2000.9)一冊という世界になってしまいます。とても辛い。針山さんの小説がない「人間像」にこれから堪えて行かねばならない。



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