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夜明けが近いのか障子に薄明りが差込む。 蒲団の温もりの中でぐずぐずとしている。 六十年前と同じ離れの八畳の部屋に泊まっている。 南天の枝から、雪の落ちる音がする。 六十年前も同じ音を聞いた。 (丸本明子「独言」)
本日、丸本明子『独言』、人間像ライブラリーにアップしました。「人間像」作業、再開です。 第133号は、丸本明子『独言』の後、春山文雄『オートバイの女』、北野広『新米教師奮戦記』、葛西庸三『屈折した狭間の中で』、村上英治『高瀬川(二)』と続くのですが、特筆すべきは村上英治さん。第133号170ページの内、80ページが『高瀬川』なんですからね。つい先日まで『北浜運河』をやっていた身としては辛いものが少しだけある。2012年から二十年前にまたタイムスリップして来たようで頭がくらくら。
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