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No.1015 への▼返信フォームです。


▼ 「人間像」第117号 前半   引用
  あらや   ..2023/11/17(金) 16:49  No.1015
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 牛泥棒でつかまった『百一馬喰』は、百話すうちにほんとのことはせいぜい一つしかないのでその名前がついたのだが、その百一つぁんのほかにもう一人『マルホ』というのがいた。これは、隣県、とはいっても斎藤昭の住む岩手県一関からそんなに遠くない宮城県々北の馬喰なのだが、
「言ってることがまるっきり全部ほらばかり」
 なのがこのあだ名の由来だった。しかし考えてみると百一にしろマルホにしろ一匹馬買いのちんぴらなのに、ほら吹きの看板を背にしょったまま、鬼より恐い海千山千、ばの字づくしの荒くれ男がむらがるこの渡世でなんとかかんとか生きて暮らしているのだから、それなりに大したもんだと言わねばならなかった。
(朽木寒三「マルホほら話」)

第117号作業、開始です。まずは、絶好調の「斎藤昭」シリーズ、朽木寒三『マルホほら話』完了。以降、内田保夫『境界は凪であれ』、丸本明子『マーガレット』、矢塚鷹夫『ロールプレイング』、千田三四郎『手探り寅吉ノート』と続きます。

昨日は庭木の冬囲いで丸々一日時間を取られてしまった。


 
▼ ワープロ時代   引用
  あらや   ..2023/11/24(金) 18:42  No.1016
   たとえば、「花が咲いた」などはそのまま旨く行くが、「お考えに」などと打つものなら「悪寒が絵に」などと訳の判らない文字の羅列になってしまうのである。打ち手の方は「考え」に丁寧語の「お」をつけたつもりでも、機械の方は「悪寒」「が」「絵に」なったと判断してしまうらしい。こういう時は「お」だけをさきに確定しておいて、後から「考え」を打てば旨く行くようである。
(針山和美「ワープロを手がけてみて」)

やあ、始まりましたね。1987年か…

 職場の同僚が、翌日までに必要な書類を打たねばならなくなり、久しぶりにワープロに向かったまでは良かったが、キィーワードが判らなくなるたびに「操作説明書」を調べながらやっていたら、とうとう朝までかかってしまったと嘆いていた。とにかく使いこなすまでにならなければ、文明の利器も宝の持ちぐされになってしまうようである。
 Kの話によると、書くのと打つのが同じ速さとしても、訂正が楽な上に清書も不要なのでトータルではワープロの方が速い、という結論になるらしい。一日も早くそう思えるようになりたいものである。
(同書)

 
▼ 手探り寅吉ノート   引用
  あらや   ..2023/11/24(金) 18:47  No.1017
   とり憑かれたわけではないが、成り行きに意地がからんで〈寅吉〉を追究するはめになった。自分の短かい余生にとって、これは道草かもしれないが、手を付けた以上、掴んだ事実と疑問を、霧の中に葬り去りたくなかった。これまでに実録とか、実説とか、実話とかいわれてきた文学が、まったくのノン・フイクションでなかった点にも触れてみたかった。
(千田三四郎}「手探り寅吉ノート」)

原稿用紙で65枚。『マルホほら話』の70枚より少ないはずなのだが、かかった時間は『マルホ』の三倍。ようやく今日アップしました。

もう今日はこれで作業終わろう… 天気予報は明日から猛吹雪とか言ってるし。

 
▼ 「人間像」第117号 後半   引用
  あらや   ..2023/11/27(月) 14:44  No.1018
   ところで、この働き者の権兵衛はどうしたわけか、三十をすぎた今日まで独り身ですごしてきた。世話好きな村の年寄り連中が、働き者で名の売れた権兵衛を見逃すわけがない。虎吉爺さんも、お熊婆さんも、猿之助爺さんも、嫁御を世話しようと何度権兵衛を口説いたかわかりゃあしない。
「わしに嫁女はまだ早いわい」
 権兵衛はそういって、今日もまたこうして鍬を振り上げているのである。
 さて、仕事も一段落かたずくと、権兵衛はそばの切り株に腰をおろして、いかにもうまそうに、すぱりすぱりと煙草をふかしていた。そのうち、権兵衛は仕事の疲れでついうとうとその場で居睡りはじめたのである。
(佐々木徳次「夢女房」)

前号の『針田和明詩集』に続いて、今号では「雑記帳」欄に佐々木氏が民話風(?)の小品『夢女房』を発表… こういうの、同人間で流行っているのかな。

「人間像」第117号(101ページ)作業、完了。作業時間は「51時間/延べ日数9日間」で、収録タイトル数は「2213作品」になりました。裏表紙は第116号と同じなので省略。



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