院長 ..2011/05/19(木) 10:52 No.46 |
| 現在の分娩(お産)は帝王切開術での分娩が増えています。 胎児潜在性仮死や胎児仮死、 これは胎児心音が正常では1分間に120〜140回の脈拍が1分間に100回以下の脈拍や1分間の80回以下の脈拍になって経膣分娩では胎児の死亡が考えられる場合 児頭骨盤不均衡、 児頭が骨盤に比べて大きく経膣にて分娩が出来ない場合、狭骨盤など、 子宮に奇形があり経膣分娩が出来ない場合、双角双頚子宮など子宮筋腫があり胎児の分娩が経膣的に出来ない場合 胎児奇形、 胎児に奇形があり経膣分娩では不可能と思われる場合 子宮切迫破裂、 経膣分娩中に過強靭陣痛などの為に子宮破裂の兆候があらわれ分娩を継続すると子宮が破裂し胎児死亡や母体死亡をきたす場合、子宮奇形や子宮筋腫、前回帝王切開術後の経膣分娩などに起こると思われます。 妊娠高血圧症候群(以前の妊娠中毒症)のひどい妊婦さん、子癇(妊婦さんに痙攣や意識障害をきたす)を伴う場合 前置胎盤、 胎盤の付着が内子宮口付近にあり経膣分娩では出血が多いし、子宮口を胎盤がふさぎ経膣分娩が出来ない場合、帝王切開術でも胎盤を切開して胎児娩出を行わなければならない場合が多く、分娩時出血は多いと覚悟をしなければならない。輸血の準備等も必要になる。超音波Bスコープで手術前より子宮後壁に胎盤が付着か子宮の前壁に付着かで胎盤の切開のおおよその予測が出来る。 常位胎盤早期剥離、胎盤は正常な位置(子宮低部)子宮の上の方についているが分娩の進行中に過強の陣痛が来て、普通は子宮が収縮、弛緩と規則的に縮んだり伸びたりと普通の陣痛であるが収縮ばかりで子宮が縮んでお腹が痛くなり子宮外の出血が多くなり、児心音は1分間に100回以下や80回以下に急になり胎児死亡をきたす場合 臍帯下垂や臍帯脱出、 臍帯が頭位や骨盤位や足位の場合に先進部が先に降りてくる状態や破水をした時に頭位や骨盤位や足位で先進部で臍帯が先に降りてきた場合、児を助ける為にはすぐに緊急帝王切開をしなければならない。 その他母体の疾患、心疾患や糖尿病などがあったりした場合胎児を助ける為に急に帝王切開をしなければいけない場合などがあります。 以上の様に帝王切開術を行う症例は年々増えています。 大学病院をはじめ、大病院でも反復帝王切開術がほとんどで、診療所でもほとんどの所が反復帝王切開術を行っているのが現状です。 ありよしでは、医師になった40年前より、帝王切開術後の子宮切開の傷がどうなっているか手術後の1週間後に子宮内視鏡や子宮造影術、1ヶ月後に子宮内視鏡や子宮造影術で帝王切開術後の子宮の瘢痕の状態を調べ、手術後の瘢痕がよくない場合は半年ごと子宮造影等で検査を行い再度帝王切開術が必要かどうか、経膣分娩が出来るかどうかの指導を受けていました。おかげで前回帝王切開の方の反復帝王切開をした方がよいかどうかの判断を行い注意深く経膣分娩を試みています。 半分の50%くらいは経膣分娩を行っています。分娩時は全例緊急帝王切開術が出来る準備はしています。又従業員の方は皆さん手術時の器械取りが出来る人ばかりで安心して分娩を行っています。 平成23年4月には30歳、妊娠39週+4日、体重61kg腹囲90cmの方に経膣分娩をして頂きました。出血も少なく著変ありませんでした。 もう一人の方は30歳以前、妊娠38週+4日 体重89.5kg腹囲113.5cmの方で経膣分娩して頂きました。児も3700gと大きく弛緩出血が多く貧血症がありましたが母児共に順調に退院して頂きました。帝王切開術と違って分娩後が楽であったと感謝されています。全例帝王切開後の経膣分娩が出来るわけではありませんが、毎回の妊婦検診で経膣分娩が出来るか反復帝王切開をしなければいけないかが解るので患者さんに説明しながら、のんびりと分娩させて頂いてます。
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