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No.1072 への▼返信フォームです。


▼ 「人間像」第120号 前半   引用
  あらや   ..2024/03/24(日) 00:43  No.1072
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三月下旬より「人間像」第120号作業に入っています。丸本明子『夜叉』、内田保夫『選ばれた男』、針山和美『再会』と順調に来て、今、朽木寒三『凸凹三人衆』をやっているところです。前半とは言いながら、この『凸凹――』を仕上げると、もう作業のページは20ページ余りですから、もう後半と言ってもいいのかもしれない。なにか怖いぐらい順調です。

 京都の上醍醐にある、准胝堂という観音堂は、上醍醐寺にあり、麓の下醍醐から急な山道を四キロ登った所にある。
 准胝堂には、准胝観世音菩薩が祀ってあり、西国三十三ヵ所の巡礼札所のうちの第十一番だ。
 徳大寺宗利は、山道を登りはじめた。案内書によれば、ここは西国巡礼の寺では、第三十二番の観音正寺とともに難所のひとつであるという。
 徳大寺は、開伽井と呼ばれる湧き水の所で足を止めて、汗をぬぐった。
(内田保夫「選ばれた男」)

へえー。いつもの京成電鉄界隈から始まる物語が内田保夫氏だと思っていたから、今回の『選ばれた男』の京都にはびっくりしました。こんな技もあるのね。

 
▼ 再会   引用
  あらや   ..2024/03/24(日) 00:51  No.1073
   安川敬一が田坂寿子に出会ったのは、本当に偶然であった。
「鈴木佳弘さーん」
「安川敬一さーん」
 と続けて呼ばれて薬局の窓口に薬を貰いに行って行きあった。行きあったと言っても敬一は全然気がつかなかった。
「やっぱり、敬一さんなんですね」
 そう言われて、その女性の顔を見ても敬一はまだ分からなかった。
 (中略)
「そうじゃないかと思ってさっきから見ていたのよ。でも人違いなら困るので名前を呼ばれるまで待っていたの」
 そう言ってにこにこと笑う。美しい笑顔である。美しいと言うより敬一の好みのタイプなのだ。年甲斐もなく動悸が激しくなった。
(針山和美「再会」)

つい先月、『百姓二代』の強烈な四篇をやっていた身には、『再会』は鰊にすっきり冷えたビールのような味わいでした。春が近い。

 
▼ 凸凹三人衆   引用
  あらや   ..2024/03/25(月) 17:05  No.1074
   試みに手もとの『岩波』の小型国語辞典によって『ばくろう』の項を見たら次のように書かれていた。
「ばくろう【博労、馬喰、伯楽】 牛や馬の仲買い商人。産地の農家から牛馬を買い取り、それを広く売りさばいたり交換したりする。◇『伯楽』の転」
 (中略)
 殊に、「交換したりする」の一語には恐れ入った。馬喰は牛馬の売り買いももちろんするけれど、まさに『交換』こそが主目的の営業なのである。考えてみると私は子供の頃北海道でそだち、友達と何かを取りかえたい(交換をしたい)ときさかんに「バクルベ」を連発したものだが、これはあるいは「バクローするべ」が原型のことばなのかも知れない。(朽木寒三「凸凹三人衆」)

朽木氏のお父さん(水口茫氏)は倶知安中学の先生をしていたそうです。なぜか私の手許にある『北海道倶知安高等学校50年史』(←針山家から頂きました)にもお名前が見えますね。〈子供の頃〉の話なので、朽木氏と針山氏に倶知安での面識はなく、二人が出会うのは戦後の投稿雑誌時代になります。

 
▼ いじめについて   引用
  あらや   ..2024/03/27(水) 18:50  No.1075
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 僕のクラスにK子と言ういじめられっ子がいる。幼稚園時代からいじめの標的にされていたと言う事だ。
(春山文雄「いじめについて」)

『嫁こいらんかね』の着想がこんなところにあったなんて… 感じるところの多い文章でした。『百姓二代』の広告が第120号にあったので掲示します。針山氏の20代、30代、40代、50代を代表する自信作という理解でいいのかな。

 
▼ 「人間像」第120号 後半   引用
  あらや   ..2024/03/27(水) 18:54  No.1076
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ついに第120号まで来たぞ! あと70冊。
122ページの作業時間は「42時間/延べ日数7日間」、収録タイトル数は「2286作品」になりました。なにかてきぱきと仕事が進むなとは感じていたのですが、まさか40時間代になるとは思ってもみませんでした。「人間像」史上、最速でしょうか。

裏表紙が変わりました。こういう内容です。

 遠い疼き

 これは千田三四郎の六冊目の作品集である。今まで出した五冊のうち三冊は旅芸人「乾咲次郎」の伝記であり、『詩人の斜影』は啄木を巡る愛の群像を描いたものだった。伝記小説ではないが、その係累に属するものだった。従って千田自身が掘り起こした題材は『草の迷路』一冊と言ってよかった。しかもこの五冊はすべて長篇ばかりだったが、今度初めて短篇集を出すことになった。しかも珠玉揃いの好短篇集である。
 調べてみると、千田はこれまで二十五篇の小説を「人間像」に発表してきたが、その総枚数は二五〇〇枚に達する。一篇平均一○○枚と言うことになる。ところがこの集に収められた七篇は六十八枚を最長に平均五十枚で比較的短いものばかりであるが、この長さが千田の体質に合っているようだ。と言うのも、この長さのものに佳いものが多いのである。日常的な、事件とも言えない出来事の中に人間性を見事に捉えて味わい深い作品となっている。珠玉揃いと思う所以である。(針山和美)



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