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「身寄りもわからない店子が死んじゃった場合、あたしはどうしたらいいんだ? 荷物を片づけてしまっていいのかい?」 多和田が言った。 「警察から連絡が来るまでは、このままにしておいてくれないかな」 新堂は、卓袱台の下からまとめられた新聞紙を引き出した。 東京日日新聞、中央新聞、東京朝日新聞があり、時事新報、都新聞、読売新聞もあった。さらに国民新聞、萬朝報、やまと新聞……。 この一週間ばかりのものだ。 (佐々木譲「抵抗都市」)
日露戦争終結から十一年、ロシア統治下の東京…という設定は、ちょうど松崎天民を調べていた時だったので、なんともタイムリーでした。大津事件や日比谷暴動をこんな風に使うのか…という面白さもあった。このシリーズ、楽しめそう。
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