| 俺の父っちゃんも母っちゃんもどんなんだか俺知らない。まわりみたら、みんな小樽の貧しい人間だった。技術身につけたのに、孤児はどうしてこう馬鹿にされなければいけないんだ。どうかしてるよな。どこかが狂ってるぞ。だけど、ひとりってのはどうしてこう淋しいんだべ。おっと、洋子を忘れてた。あれも小樽生まれだっていってたな。札幌へ来て、こうやって住みついてどこへも行けなくなったら小樽出身ときいただけで無性に嬉しかったものな。 (針田和明「どぶ」)
針田さんって小樽の人なのかな。第97号の『山もありゃあ谷もあらあな』も主人公が小樽育ちという設定だった。「針田和明」と「針山和美」は似ているので、昔は針山氏のペンネームの一つかと思っていた時もあった。(そう言えば、針山氏も小樽育ち。それで受ける感じが似ているのかな…) 一時は「人間像」の後継者として嘱望されていたのですが、若くして亡くなられたため皆が悲しんだと福島氏からお聞きしたことがあります。
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