| 竹内紀吉氏(浦安図書館)関連の基礎教養として、山本周五郎『青べか物語』を今頃精密読書。
そして****とひどい悪態をついた。 美しく純粋な、黄金の光を放つものが毀れた。助なあこは自分を反省し、また独学に熱中し始めた。いちどならず「死んでしまおう」と思い、どこか遠い土地へいってしまおうと決心した。北海道かどこかの広い広い、はだら雪の人けもない曠野を、頭を垂れ、うちひしがれた心をいだいた自分が、独りとぼと.ほと歩いてゆく。こう想像するたびに、彼は一種の快感にさえ浸されるのであったが、現実にそうする勇気は起こらなかった。 (青べか物語/蜜柑の木)
救いの主は五郎さんの姉であった。父親から手紙を受取った姉が、一人の娘を伴れて北海道からはるばるやって来たのである。娘は小柄な軀ではあるが、健康そうで、縹緻もゆい子より一段とたちまさっていた。実科女学校中退、年もゆい子より二つ若かった。 (青べか物語/砂と柘榴)
引用した個所は、『青べか』の中に「北海道」の文言が登場するのが面白くて個人的趣味でピックアップしただけです。『蜜柑の木』や『砂と柘榴』の作品本質とは別に関係ありませんからご注意を。
面白かった。黒澤明『どですかでん』の原作『季節のない街』も一気に行こう!
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